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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

暇なときに AI先端人材、米国に集中

5年前にAIのことを話すと”What’s AI?” という答えが返ってくる大企業のマネジメントがいたことが懐かしい。この5年間で米中と日本では圧倒的な差がついてしまったが、今からでもAI投資は必須だ。各チームにパソコンの形だろうが、ロボットの形だろうが、オフィスのあらゆるところにAIがないとこれからの競争には勝てない。


例えば、私は30年間米国債、米国モーゲージ債、欧州債、日本国債市場に携わってきた。私の相場観を支えてきたものは経験だ。年初2.7%だった米10年債が足許では、2.1%。60bpも金利が低下している。何故か?米中通商問題が覇権争いである限り、早期解決はない。欧州、中国のスローダウンを心配している間に米国のスローダウンも心配しないといけないとなると米中共に譲歩はしない。グローバルに景気を押し下げる可能性があり、まだまだ金利は低下してもおかしくない。グローバルにインフレを心配しないといけない状況にはない。なんて考える訳だ。金利が低下するかどうかは50%の確率で外れる。こんなに色々なことを考えなくてはいけない世の中になって、人間のトレーダーはAIには勝てない。AIに様々なデータを解析させるほうが良いに決まっている。


6/2の日経新聞の朝刊一面の記事「AI先端人材、米国に集中」は良く読んだほうが良い。カナダのAIスタートアップ「エレメントAI」が、行った調査によると、世界のトップ級人材は2万2400人いるという。うち約半数が米国(1万295人)で、次いで中国(2525人)が1割を占めた。英国(1475人)やドイツ(935人)、カナダ(815人)が続き、日本は805人で6位。


そもそも日本は、他国に比べ、海外で教育を受けたり、海外の企業で働くグローバル人材が少ない中、6位と言う結果は健闘していると言える内容だが、記事の中で筑波大学の秋本洋平准教授は、「国際学会で日本人の発表数は少なく、存在が薄い」と指摘している。


日本政府は巻き返しを図り、年間25万人のAI人材を育てる目標を、3月に掲げたが、ここまで出遅れてしまうと一大事だ。欧米や中国は、国策としてAI人材を育ててきた。


日本の問題はAI人材を育てることだけではない。AI人材が思う存分その能力を発揮できる会社が必要だ。日本は、今後海外から優秀な人材を採用することになるでしょう。そのためには、グローバルスタンダードな給与水準と自由に発言できるフラットな組織作りが必要になってくる。


私自身が今20歳なら間違いなく、米国に行って、AIエンジニア、AIデザイナーといった勉強に没頭するだろう。そして卒業後は、勉強したことを実践できる企業がどこの国の企業であるかはあまり気にしないでしょう。

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