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執筆者の写真篠原竜一

暇なときに ジョブ型雇用

日経新聞の記事によれば、日立製作所は2022年7月にも、事前に職務の内容を明確にし、それに沿う人材を起用する「ジョブ型」雇用を本体の全社員に広げるそうだ。


今までの働き方と何が変わるのか?


典型的な日本企業の人事制度は、年功序列、終身雇用を前提に職務や勤務地を限定せずに働く「メンバーシップ型」雇用だ。「メンバーシップ型」は突然の解雇リスクがない分、給与水準は解雇ありの欧米で主流の「ジョブ型」よりも低くなることが多いと言われている。経験を重ねると能力が上がる職務遂行能力によって給与が決まる「職能給」という考え方に基づき、処遇される。


これに対し「ジョブ型」雇用は、責任や役割といった職務や職種によって給与が決まる「職務給」という考え方に基づき、処遇される。業績に応じて従業員の賞与に差がつくのがその特徴だ。今後日本で導入される「ジョブ型」雇用で、引き続き終身雇用制度が維持されるのだとすれば、「日本型のジョブ型」雇用と呼ぶべきかもしれない。


私は、戦後の日本が比較的格差のない社会を築くことが出来たのは、一部の成功者に富が集中した後に、富の再分配を行うのではなく、会社が得た富を、「メンバーシップ型」の年功序列、終身雇用制度で事前に定めたルールに基づき、従業員に分配してきたからだと考えている。


以前は、余程のことがない限り、同期入社の従業員の年収に大きな差がつくことはなかった。誤解を恐れずに言えば、年功序列、終身雇用制度は、頑張って稼いだ人に帰属するはずの給与を頑張れなかった人への給与、年上の従業員に対する給与として再分配することが事前に決められている制度だ。


今後ジョブ型の雇用が増えていくか?


今までの日本の企業では、経験を重ねると能力が上がるという職能給に基づき従業員は処遇されてきた。自分は、自分の能力に基づき、日々労働を提供し、その労働の対価として給与を貰っているという考え方だ。欧米で主流の「ジョブ型」では、社員は自分の職務を全うし、会社に貢献すると、会社が儲かるので、その結果として給与を貰う。結果を残せば、賞与は上がり、逆の場合、賞与は下がる。社員にとってはよりプレッシャーのかかる働き方かもしれないが、やりがいはあるのではないだろうか?


この「ジョブ型」が成功するかいないかはマネジメント次第だ。定量的・定性的な評価基準を明確にし、公平な評価を行うことが出来るかが、「ジョブ型」を実施する上での重要なポイントだが、グローバリゼーションが進展する中、「ジョブ型」雇用に変えていかないと優秀な人材の確保は難しくなるのは確実であり、今後もこの動きは続くものと思われる。


今25歳の社会人が40歳になり、マネジメントとしての活躍が期待される頃には、小学生の頃から、プログラミングと英語を学び、個性を大切にし、アクティブ・ラーニングを通じて、自分の意見を論理的に表現する新入社員が入社してくる。「ジョブ型」での働き方に違和感のない社員たちと言い換えても良いかもしれない。自分たちが若かった頃とはかなり異なる価値観を持った新入社員が入社してくることにより、今とは大きく異なるマネジメントスタイルが求められるだろう。

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