篠原金融塾 グローバルマーケット(週次)
中国の湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎で、中国本土の感染者数は1月31日時点で累計1万1,791人となった。中国の国家衛生健康委員会が1日発表した。前日から2,102人増えた。死者数は46人増え、259人となった。中国本土以外でも、英国やロシアなどで初感染者が確認され、26カ国・地域に広がっている。
先週このレポートを書いている時には全世界で1,300人が感染と言って騒いでいたが、今やレベルの違う話になっている。
アメリカン航空は31日から3月下旬まで、米中間の全ての直行便を取りやめる。デルタ航空も約3カ月間、中国行きの全便を運休にする。ユナイテッド航空も2月6日から3月28日まで「米国内のハブ空港と北京、成都、上海を結ぶ便を運休する」と表明した。米政府が中国全土への渡航を最高警戒レベルに引き上げ、各社とも対応の強化を迫られた。
金曜日の米国株式市場はこの報道を受け、下値を試す展開となった。当初想定以上に世界経済へ与える影響は大きそうだ。この1週間で米10年債は18bp、独10年債は10bp、日10年債は5bp金利低下。米株は先週比Dowは734、SPは70、Nasdaqは150下げての越週。日経平均は622下げ、23,205での越週となっている。ドル円は89銭安の108.38、WTIは2.57安の51.63。一方、金は買われ、1,593.40で越週。
米国3か月物T-Billが1.556%、10年債が1.505%と逆イールドになり、そろそろ米国債のイールドカーブの形状からリセッションリスクというエコノミストが出てくるだろうが、米国のリセッションを心配するのはまだまだ先の話だ。連銀がバランスシートの縮小をやめ、短期金利の上昇を抑えるためにバランスシートを再度拡大していることが、米国金利の上昇を抑えている大きな要因だ。
リセッションを心配しないといけないのは日本だ。日韓関係の悪化から訪日観光客が激減、今後中国からの観光客も激減するだろう。本来であればスキーリゾート中心に日本中に観光客があふれていて良い時期に新型肺炎は痛手だ。今の日本にとってインバウンド需要の減少は致命的で、週明けの日経平均がどこまで売られるのか心配だ。
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