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執筆者の写真篠原竜一

篠原金融塾  グローバルマーケットウィークリー 4/7/2023

アメリカの3月の雇用統計によると、非農業部門就業者数は前月比23万6000人増。失業率は3.5%。平均時給の前年同月比4.2%上昇。労働市場は引き続き堅調だ。5月のFOMCでも0.25%の利上げが実施されると考えておいた方が良いだろう。欧米の金利上昇は終わっていない。


そんな中、日本では、植田氏が日銀総裁に就任する。


黒田日銀は、量的緩和を続け、通貨の供給量を増やし、不動産価格や株価は上昇した。当たり前のことだが、円の価値は下がった。日銀が出来ることと言う意味では、見事にその政策を実行したと言えるのかもしれない。寧ろ、我々がそれ以上のことを日銀に求めすぎていたと気がついた方が良いのかもしれない。


日銀新体制の課題は、「金融政策の正常化」だ。金融政策頼みの政策からの転換だ。多額の債務を抱える日本にとって、利上げは大きな試練だ。金利上昇は日本経済に打撃を与えるかもしれないが、避けては通れない。だとすれば早い方が良い。アメリカの景気・労働市場が堅調なうちに実施した方が良い。


バブル崩壊後に私が学んだことは、イノベーションが起きない国は競争力が低下し、成長できないということだ。人口減少を伴う少子高齢化は思っている以上に日本経済にダメージを与えている。そんな中、金融政策の正常化の過程で金利が上昇する。その時に引き続き新しい価値を産みだせないとすればどうなるか?


異次元の金融政策を受け押し上げられた資産は、金融政策の正常化の過程で大きく値を下げることがあるかもしれない。その場合、そのツケを払うのは次世代の若者たちだ。だからと言って、異次元の緩和を続ければ続けるほど、その反動は大きいはずであり、量的緩和はどこかでやめなければならない。植田新日銀総裁に期待したい。


おまけ


常に新しいことにチャレンジし続けた人、言葉を越えてメッセージを送り続けた人、坂本龍一氏が亡くなった。YMOの坂本氏の語る西洋音楽史の話の専門性の高さ、その教養に驚いたことを思い出した。無力感に包まれることの多い世の中だが、理想論という一言で済ませてはいけないことが沢山あるのではないかと改めて考えさせられる。


「愛と言う言葉は嘘くさい。平和・反戦と言う言葉に拒否反応を示す人もいる。」 という彼の言葉が胸に刺さる。


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