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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

篠原金融塾 グローバルマーケット(週次)

残念ながら、世界の動きを見ている限り、コロナ後はこないらしい。自粛中は「自粛が終わったら、会おう」「自粛が終わったら、飲もう」などと声を掛け合うことが多かったが、どうやら感染症との闘いというのは始まりも終わりも分かりにくいらしい。コロナと共に生きていくことになりそうだ。

世界を見れば、医療崩壊と言われたイタリアは2カ月続いた国内移動制限の解除を準備中だ。ブルームバーグによると、イタリア国民は6月3日から国内移動が許される。今月18日には小売店その他のビジネスが営業を再開でき、国民は居住地域内で自由に移動できるという。

ニューヨーク市とロングアイランドのほか同州3地域ではロックダウンは2週間延長されたが、クオモニューヨーク州知事は、5月末のメモリアルデーの週末に先立ち、市町村や郡はビーチの閉鎖を解除して構わないと述べている。

日本では、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言について、安倍総理大臣は14日夜記者会見し、39の県で解除することを正式に表明した。そして、東京など残る8つの都道府県は、今月21日をメドに解除できるかどうか判断する考えを示した。

世の中は経済再開に動き出した。

FRBは年2回公表する金融安定報告で、「15日、新型コロナウイルスのパンデミックが予想外の方向に進み、経済への影響がより深刻になる、もしくは金融システムの緊張が再び高まった場合、資産価格は大幅に下落しやすい状態が続く」と指摘している。特に商業用不動産はバリュエーションが低下しやすいとし、「パンデミック前の時点で、ファンダメンタルズに照らした価格が高かった」ためだと説明した。

そんな中、ゴールドマン・サックス・グループ、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、シティグループ、そしてモルガン・スタンレーが、欧州のローン担保証券(CLO)の最も高リスク部分(エクイティー部分と下位のメザニン部分)を競売にかけたとブルームバーグが報じている。ポートフォリオの想定元本は計1億ユーロ(約116億円)弱だ

記事では、米銀大手は望ましい価格で買い手が付かなければ、4行が資産を購入し、その後売却することも検討と書いてあるが、こんなマーケット環境下そんなことはしないだろう。

米中関係は最悪だ。新興国の動向にも気をつけたほうが良い。私はMMT理論を支持しないが、自国通貨建てで国債を発行する先進国は、歳出が増えても支払い能力に関する懸念をすぐに引き起こすことがなく、通常は低金利が通貨価値の急激な下落を招くことはないと考えられるが、新興国は、資金調達に支障を来たし、新たな刺激策や救済措置を講じることが難しくなっていくこともあるだろう。

CMBS, CLO、そして新興国、とても微妙な状況だ。世界中の中央銀行が混乱しないように守りに行くので、サポートされるが、それらの価格は、私にはびっくりするくらい高すぎて手が出ない。引き続き歪んでいる。売られるときに売られないマーケットは本当に恐ろしい。

世界的な不況は織り込んだ。今後の経済再開を期待し、米ドルは底堅く、原油価格は落ち着きを取り戻したものの、米中関係悪化の懸念からグローバルに株が弱い。米国債の金利は低下。

経済再開による新型コロナの第二派が来るか来ないか? そして米中関係の先行き、が当面のマーケットのテーマか?

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