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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

篠原金融塾 グローバルマーケット(週次)

更新日:2020年6月15日

10日に発表したFOMC声明文は以下の通り。

FRBはこの厳しい時期に米国経済を支援するためにあらゆるツールを活用し、雇用の最大化と物価安定という目標の促進に尽力する。

新型コロナウイルスのまん延は米国および世界各地で人道的・経済的苦境を引き起こしている。このウイルスと公衆衛生を保護するための対策が経済活動の急激な縮小と失業の急増を誘発した。需要の鈍化と原油価格の大幅下落が消費者物価の上昇を抑制している。経済支援に向けた政策措置などを反映し、金融情勢と米国の家計と企業への与信の流れは改善している。

現在進行中の公衆衛生の危機は目先の経済活動、雇用、インフレを強く押し下げる見通しで、中期的に経済見通しの著しいリスクとなる。こうした展開を踏まえて、委員会はフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0~0.25%に据え置くことを決定した。委員会は、経済がこのところのイベントを乗り切り、目標とする最大雇用と物価安定の実現への軌道に乗ったと確信するまで、この誘導目標を維持する見通しだ。

委員会は公衆衛生、国際情勢、控えめなインフレ圧力など入手される情報が経済見通しに及ぼす影響を引き続き観察し、経済を支えるため必要に応じてツールを活用し、行動していく。委員会は金融政策スタンスの今後の調整の時期と規模を決めるに当たり、目標とする最大雇用および対称的な2%のインフレ目標に照らして経済の実績と見通しを評価していく。この評価では、労働市場環境の尺度やインフレ圧力とインフレ期待の指標、金融および国際情勢の解釈を含む幅広い情報を考慮する。

FRBは市場の円滑な機能を保つために今後数カ月にわたり少なくとも現行のペースで国債と住宅・商業用不動産ローンを裏付けとするエージェンシー債の保有高を増やすことで、金融政策を幅広い金融情勢に効果的に反映させる。

さらに、公開市場デスクは大規模なオーバーナイト(翌日物)とターム(期間物)のレポ操作の提供を続ける。委員会には展開を注意深く観察し、計画を適宜調整する用意がある。

金融政策措置に賛成した委員は以下の通り。ジェローム・パウエル議長、ジョン・ウィリアムズ副議長、ミシェル・ボウマン、ラエル・ブレイナード、リチャード・クラリダ、パトリック・ハーカー、ロバート・カプラン、ニール・カシュカリ、ロレッタ・メスター、ランダル・クオールズ。

声明文と同時に公表された経済見通しでは、2020年の実質GDPは、-6.5%。2019年12月時点での予想は2.0%だったので、大幅に下方修正されている。2021年は5.0%と反動増を見込んでいる。2020年末の失業率予想は9.3%。2021年末に6.5%、2022年末に5.5%と低下するものの、2019年12月時点では3.5、3.6、3.7%と予想されていたことを考えると労働市場の回復には時間がかかりそうだ。2020年末Core PCE予想は1.0%。物価には低下圧力がかかると考えている。2021年1.5%、2022年1.7%とFRBのターゲット2%には届かない。

当局者の金利見通しでは、当局者17人全員が来年末まで事実上のゼロ金利政策を維持すると予想。17人中15人が2022年末までの据え置きを見込んだ。

とても慎重だ。公衆衛生の危機はインフレを強く押し下げるというのがFRBの考えであり、何としても更なるデフレリスクを払しょくしたいというのがパウエル議長の考えだろう。パウエル議長は会合後の会見で、「パンデミックによる衝撃を受け、必要な限りあらゆる手段を使って経済を支援していくことに注力している」と述べている。FRBは市場の円滑な機能を保つために今後数カ月にわたり、償還証券を差し引いたベースで、米国債を少なくとも月間800億ドル(約8兆5700億円)、MBSを400億ドル相当買い入れる。

第2波の可能性について問われると、パウエル議長は、「いつ経済を再開するかの決定は州・地方・連邦レベルの政治家に委ねられており、われわれとして特別に追加すべきことはない」と答えている。「全米でのソーシャル・ディスタンシング制限の緩和で人々の移動が増え、多くの企業がそれぞれ程度は違うが業務を再開している」と慎重だ。

状況はそれほど大きく変わっていないが、今週は株が大きく売られ、債券が買われた。ドル円、ユーロ円共に大きく円高に振れている。

FRBの景気見通しは慎重なのは気になるが、同時に利上げは2022年まではない。投資家は押し目で株を買ってくるだろう。債券市場もFRBが当面、毎月米国債800億ドル、MBSを400億ドル相当買うことがわかっている。金利の上昇はFRBが見たくないのだから、金利上昇リスクは限定的だろう。

ワクチン若しくは治療薬が開発されるまでは、第2波を警戒というような報道に対して、今週のような荒い値動きが今後も見られるものと思料されるが、株・債券の下落は中央銀行が助けてくれると考える投資家が圧倒的に多い。本当に第2波が来ても、第1波のようにヒトの流れを完全に止めることは考えにくい。Withコロナ相場は、今までの市場の反応とは異なってくる。何でこんな状況なのに株が強いのだといっている向きにとって、定期的に調整は入るものの、当面気持ち悪い展開が続くのではないだろうか?

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