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執筆者の写真篠原竜一

篠原金融塾 FRB・ECB・BOJ グローバルマーケットウィークリー 6/17/2022

ボラタイルな週だった。市場参加者は疲れきっているだろう。


米10年国債は、週初、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、月曜日、火曜日で40ベーシスポイント(bp)も金利が上昇、大きく売られる展開となったが、その後週末にかけて全戻しされる荒っぽい展開に。独10年国債は暴落。約40bpの金利上昇で越週したが、欧州中央銀行(ECB)の国債利回り格差抑制策に対する期待から、イタリアなど周辺国の国債は週末大きく買い戻された。


株式市場はFRB並びにECBによる金融引締により国債金利が大きく上昇していることを受けて、グローバルに頭の重い展開が続いている。今後も景気とインフレの綱引きの状況は変わらず、非常にボラタイルな展開が続くものと思われる。


FOMCは、アメリカの景気と物価動向を以下のように認識している。


「全般的な経済活動は1-3月期に若干鈍化した後、勢いを増したようだ。ここ数カ月の雇用の伸びは堅調で、失業率は低水準にとどまっている。パンデミック(新型コロナウイルスの世界的大流行)に絡む需給の不均衡、エネルギー価格の上昇、幅広い物価圧力を反映し、インフレ率は高止まりしている。」


「ロシアによるウクライナ侵攻は途方もない人的・経済的苦しみをもたらしている。この侵攻と関連事象がインフレを一段と押し上げる圧力を生み出し、世界の経済活動の足かせとなっている。さらに、中国での新型コロナウイルス禍に伴うロックダウン(都市封鎖)がサプライチェーン(供給網)の混乱に輪をかけるとみられる。委員会はインフレリスクを注意深く観察している。」


その上で、以下の政策を実施した。


「委員会は最大雇用と、長期的に2%のインフレ率の達成を目指す。こうした目標を支えるため、委員会はフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.50~1.75%に引き上げ、目標レンジの引き上げを継続することが適切だと判断した。さらに、委員会は5月に発表した「FRBバランスシートの規模縮小プラン」に示した通り、国債、政府機関債、政府機関発行の住宅ローン担保証券(MBS)の保有高の縮小を継続する。委員会はインフレを目標の2%に戻すことに強くコミットしている。」


注目された記者会見でパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、7月に予定する次回FOMCでは、現在の状況を踏まえると「50bpか75bpの利上げの可能性が高くなると思われる」と語った。


ということは、7月のFOMC後には、FF金利は少なくとも2.00-2.25%になるということだ。仮に75bpの利上げを実施すると2.25-2.50%となる。また、現時点でのFOMCメンバーによる年末のFF金利の予想は3.4%となっている。

FF 金利が年末に3.4%になるとすれば、景気減速の程度とインフレ率のレベル次第で大きく変わるが、年末の2年債金利が3.5-4.0%、10年債金利が4.0-6.0%まで売られていても全く不思議ではない。大きなイベントを一旦はこなし、米国債市場は落ち着きを取り戻したように見えるものの、ポイントは景気減速、並びにインフレのピークアウトを示唆する経済指標が出てくるか否かだろう。いづれにせよ、FRB・ECBによる利上げが予想される中、債券市場にはとても強気にはなれない。


そんな中、黒田日銀総裁は「日本経済が回復途上にあるなかでしっかりと支えていく」と語った。日銀は長期金利を0%程度、短期金利をマイナス0.1%に誘導する長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)をこれまで通り継続すると決定した。日本経済は需要不足の状況が続いており、金融緩和政策維持が必要だということだろうが、欧米金利が大幅に上昇する中、日銀はこの1週間だけで10年債3銘柄を6.7兆円分購入した。凄い金額だ。日銀のイールドカーブ・コントロールは10年債利回りをむりやり0.25%以下に抑え込む政策だが無理があると思うが、日銀は現在の政策を維持するようだ。





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