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執筆者の写真篠原竜一

篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 1/5/2024

日経新聞の「昭和99年ニッポン反転日本診断」が面白い。大学の頃、日本の活力は民間企業の競争、イノベーションによるものであり、農業の保護主義について批判したエッセイを書いてひどい成績をもらったことがあるが、農業法人の経営者で農林水産省の審議会委員も務める浅井雄一郎氏は「適切に使われていない農地は固定資産税を宅地並みに上げ、手放すよう促すべきだ。」と話す。「保護の対象として支える仕組みをやめなければ、稼げる農家は生まれない。」と言う。


また、エイベックスの黒岩克巳社長兼最高経営責任者(CEO)は、ガールズグループ「XG」を最初から世界でデビューさせた。「世界中の若者がインターネットでつながっている。日本だけ見るわけにはいかない。」からだと言う。


「長く続く停滞から抜け出すために解決すべき課題は何か」と、街角で100人に聞くと、多くの人は若者が希望を持ちにくい社会を案じているそうだ。「年功序列。変化が生まれない。若者への投資が足りない」など、年功が重視される日本のシステムに疑問があるとした人は10人を超えたそうだ。


その人たちによれば、昭和の慣習が邪魔だという。下積みを経て仕事を覚え、社歴とともに責任が増して処遇が上がる人事制度は、全ての人の力を十分に引き出せない。昭和の年功序列は、熟練の労働者ほど高い賃金にすることで、生産性の向上と働き手の定着を図った。経験が重要な製造現場では通じても、技術が急速に進歩するデジタル分野には合わないという。


私は、日本の年功序列から思い切って飛び出せたのは、この昭和の慣習に育ててもらったことだと思っており、とても複雑だが、その通りだとも思う。しかしながら、そんなに悲観しなくても新しい動きは加速しそうだとも思っている。


2024年、日本に住む人の半数が50歳を超える。この事実には驚かないが、私が注目したのは、「20歳から64歳のうち20〜30代の比率は27年に37.7%で底打ちして上がっていく。人は減るが、職場は若返る」という部分だ。だとすれば、若者が不満に思っている年功序列は仕組みとして成り立たなくなっていくだろう。


日本人は変化を受け入れることが苦手なのかもしれない。失敗するとこれでもかと叩かれる。そんな大人を見てきた若者が希望を持ちにくい社会になっている。課題は明白だ。今後この若者の力を最大限に引き出して、世界に出ていくことが必要だろう。


失敗もするだろう。それを受け入れられなければ、結果として稼いでいくことが出来ず、日本は成長できる国には戻れないだろう。


さて、年初のマーケットだが、2023年12月のアメリカの雇用統計によると、非農業部門就業者数(季節調整済み)は前月比21万6000人増だった。増加ペースは11月の17万3000人から加速し、市場予想(17万人)も上回った。失業率は3.7%で前月から横這い、平均時給は前年同月比4.1%上昇。


アメリカの労働市場は引き続き健全だ。中央銀行が金融緩和を実施しないといけない状況ではない。市場の利下げ期待は行き過ぎており、米国金利が上昇したことを受け、株式市場は頭の重い展開となっている。ドル円は144円台半ばまで戻して越週している。


とはいっても、今年は欧米の中央銀行は現状維持か利下げ、日本銀行は現状維持か利上げを行う可能性が高い。ドル円は行ったり来たりしながら130円台を試すことになるだろう。株式市場はアメリカのソフトランディングシナリオが崩れない限り、押し目には買いが入ってくる展開が予想される。


今年もよろしくお願い致します!




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