篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 1/31/2025
ドイツでは2/23に議会選挙が予定されているが、気になるニュースが流れてきた。
ドイツの連邦議会で中道右派の最大野党、ドイツキリスト教民主同盟(CDU)とキリスト教社会同盟(CSU)が、政府に移民政策の厳格化を求める決議案を、移民や難民に排他的な姿勢を掲げる右派政党のドイツのための選択肢(AfD)の支持を得て可決させたのだ。
CDUは、中道右派の政党で、経済の自由競争を推進し、国有企業の民営化や財政赤字の軽減を目指している。CSUは、ドイツのバイエルン州を基盤とする保守政党で、全国政党であるCDU(キリスト教民主同盟)と姉妹政党の関係にあり、連邦議会では常に共同の統一院内会派(CDU/CSU)を組んでいる。
ドイツの与党政党は、社会民主党(SPD)。SPDは中道左派の政党で、労働者の権利や社会的公正を重視、貧困や失業問題に焦点を当て、社会福祉の充実を図っているが、決議案には反対、CDU/CSUは、単独では可決できない状況だったが、AfDが支持にまわり、僅差で可決された。
この決議案には、恒久的な国境管理を実施し、移民の受け入れの拒否を可能にするなどといった内容が盛り込まれており、ショルツ首相(SPD)は、「移民制限計画はEU法に違反する」などと非難している。
今回決議案を作成したCDUのメルツ党首はヨーロッパの加盟国間で国境検査を撤廃し、自由な移動を可能にするシェンゲン協定からの離脱を要求しており、首相に選出されれば、就任初日にすべての国境で厳格な入国管理を命じると述べている。AfDは、移民政策の厳格化やユーロ圏離脱を掲げており、今回のCDU/CSUの決議案に賛同したものと思われる。
最新の世論調査では今回の決議案を提出したCDU/CSUの支持率が最も高く、AfDがそれに続いている。仮にCDU/CSUが議会選挙を勝利したとしても、AfDに協力を求めることはないと考えられてきただけに、今回の結果は、2/23の議会選挙に大きな影響を与えることになるかもしれない。
報道によれば、国民からは反発も出ていて、CDUに所属し在任中に難民の受け入れを進めたメルケル前首相が批判している。
議会選挙の最大政党が、どの党と連立を組むかに注目が集まっているが、上述以外のドイツの主要政党は以下の通り。
緑の党(B90/Grünen)は、環境保護を中心に掲げる中道政党で、持続可能なエネルギー政策や環境保護政策を推進している。
自由民主党(FDP)は、自由主義を掲げる政党で、経済の自由化や個人の自由を重視、企業の競争力強化や規制緩和を目指している。
左翼党(Linke)は、社会的公正や貧富の格差是正を重視、労働者や貧困層の権利を守る政策を推進している。
今週は米欧の中央銀行が金融政策決定会合を実施したが、市場の予想通りの結果となった。
連邦準備制度理事会(FRB)は、インフレは依然としてやや高止まりしているとして、政策金利を据え置いた。アメリカの1月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比で約25.6万人増加し、失業率も4.1%と前月から改善したことが、FRBの利下げが先送りされることになった主因だろう。
加えて、トランプ大統領の関税政策や不法移民政策の影響を見極めたいということかもしれない。今週は雇用統計が発表されるが、労働コストの伸びが前年同期比で鈍化し、賃金圧力が緩やかになれば、再び利下げ期待は高まるかもしれない。
欧州中央銀行(ECB)は、0.25%の利下げを実施。ユーロ圏の経済成長が低迷していることを背景に、今後も金融緩和を続ける方針だ。
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