篠原金融塾 利上げは続く グローバルマーケットウィークリー 2/3/2023
米英欧の中央銀行が利上げを実施した。
米連邦公開市場委員会(FOMC)の景気・インフレの認識は以下のとおりだ。
このところの経済指標は消費と生産の緩やかな伸びを示している。ここ数カ月の雇用の伸びは堅調で、失業率は低水準にとどまっている。インフレは幾分和らいだものの高止まりしており、委員会はインフレリスクを注意深く観察している。
フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は4.50~4.75%に引き上げたが、インフレを徐々に2%に戻すのに十分抑制的な金融政策スタンスを実現するために、目標レンジの引き上げを継続することが適切だとみている。
欧州中央銀行(ECB)は2会合連続となる0.5%の利上げを決め、主要政策金利を3.00%、銀行が中央銀行に預ける際の金利(中銀預金金利)を2.50%に引き上げることを決めた。声明文で次回3月も「0.5%の利上げをするつもりだ」と盛り込んだ。
また。英イングランド銀行も政策金利を年3.5%から4%に引き上げると発表した。賃金上昇を伴う根強い高インフレのリスクを懸念して大幅な利上げを続ける。
今後の問題は各地域のインフレが沈静化に向かうかどうか?
そんな中発表されたアメリカの1月の雇用統計によると、非農業部門就業者数は、市場の予想を大幅に上回る前月比51万7,000人の増加となった。失業率は3.4%に下がり、53年以上ぶりの低水準をつけた。平均時給の前年同月に比べた上昇率は4.4%と、12月の4.8%(改定値)から鈍化したが、週平均労働時間は34.7時間で22年3月以来の高水準だった。
アメリカの労働市場は健全だ。今回の雇用統計を受け、賃金上昇が再び加速してインフレへの対処が難しくなりかねないという懸念が中央銀行の中で強まる可能性もある。
このところ大手企業の人員削減が報じられているが、労働省が1日に発表した12月の求人件数(季節調整済み)は1,100万件と、すでに高水準だった11月の1,040万件からさらに増加した。2日発表の前週の新規失業保険申請件数は極めて低水準にとどまっており、市場はインフレの見通しに関して楽観的すぎるだろう。当面利上げが続く。
日本は関係ないと思っている市場関係者は多いかもしれないが、人口動態を見る限り、グローバルに先進国の人手不足が解消することは構造的に難しく、日本の物価上昇も止まらないろう。金利は上がる。イールドカーブは大幅にスティープするのでは?
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