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執筆者の写真篠原竜一

篠原金融塾 FRBによる量的引締(QT)が始まる!グローバルマーケットウィークリー 4/8/2022

米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した3月会合の議事要旨

https://www.federalreserve.gov/monetarypolicy/fomcminutes20220316.htm)によると、1) インフレ抑制に向けて、0.50%の利上げが望ましいという意見が多かったが、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う目先の不透明感が極めて強い状況を踏まえ、0.25%の利上げが適切との判断に至ったこと、2) バランスシートの縮小計画が合意に近づいていること、がわかった。


議事要旨によると、当局者は米国債600億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)350億ドルの合計で最大950億ドルを毎月削減することを検討している。


これを受けて、米国債は大きく下落、10年債金利は1週間で31.4bp上昇、2.704%で越週。


FRB作成のH4.1レポートによれば、2022年3月末のFRBによる債券保有残高は5兆7,600億ドル(約708兆円)。1年以内に満期を迎える債券は、その太宗は米国債であり、1兆2,000億ドルある。単純平均すると毎月約970億ドルの米国債が償還されることになるが、FRBは、早期に保有資産を米国債のみの構成に戻すことを視野に、MBSを積極的に売却する計画についても議論している。現在FRBは、財務省短期証券(Tビル)を約3,260億ドル保有しているが、会合では、クーポン債の償還を優先し、満期となるクーポン債が600億ドル未満になればTビルを償還するという考えを示している。この辺りの詳細は次回のFOMCで議論され、公表されるだろう。

モーゲージ銀行協会(MBA)によると、30年物・固定型住宅ローンの平均金利は足許大幅に上昇しており、4.90%に達した。MBSが米国債対比大幅にアンダーパフォームしている中実施されるQTの債券市場へ与える影響は小さくない。投資家がMBSを保有する目的はキャリー収益だが、FF O/N金利の利上げが行われる度にキャリー収益は小さくなっていく。またMBSへの再投資が行われないことのみならず、FRBがMBSを計画的に売却するとすれば、その影響は大きい。


米長短金利の逆転が最近発生したが、「債券市場の長短逆転現象は、米景気のリセッションを示唆する」と言う報道が増えているが、インフレ退治の為にFRBによる利上げが市場の予想を上回るペースで実施されるとの見方が広まっているからであり、アメリカの経済指標を見る限り、ファンだメンタルズは好調であり、米景気のリセッションは差し迫っていない。まだまだアメリカの金利上昇は終わらない。


しかしながら、先週気になる記事を読んだ。WSJ紙によると、JPモルガンのCEOのジェイミー・ダイモン氏は、アメリカ経済は新型コロナウイルス感染拡大による減速を脱して成長しつつあると経済の健全性について明るい見方を示した。同時に、ダイモン氏は、ウクライナでの戦争がインフレ高騰と重なったことで、これまで経験してきたものと全く違う状況となっており、今後リスクが劇的に高まる可能性があると指摘している。世界中から政治・経済に関する様々な情報が集まる世界一の時価総額を誇る銀行のCEOであるダイモン氏の発言だけに非常に気になる。




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