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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 4/16/2021

当初日本政府が公表していた日程より開催が1週間遅れたものの、日米首脳会談は無事終了、共同声明が公表された。共同声明では日米同盟に関し、米国が核を含むあらゆる手段で日本を防衛することや、尖閣諸島が米軍の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象になると明記された。事前にアメリカの国務長官、国防長官が訪日、事務レベルでの交渉では、東シナ海問題の調整に時間がかかったという報道が多い。アメリカと台湾は断交されたままだが、ビジネス的にはアメリカの産業界にとって台湾はとても重要だ。2020年のアメリカ高等教育への国別留学生数を見ると、台湾からの留学生数は、日本からの留学生数を上回っている。アメリカにとって台湾問題は安全保障だけの問題ではない。


今回の会談がマーケットに与える影響は大きくないと思われるが、東シナ海に係る地政学リスクは今後高まることはあっても収まることは考えにくいのでは?


もうひとつ注目すべきニュースは、イギリスの人口増加率が最低水準になったというものだ。2020年半ば時点でのイギリスの人口は6,711万人だ。前年からの増加率は0.47%。新型コロナウイルス危機で出入国の規制が各国で厳しくなり、「純移民」が例年より急激に減ったのが主な理由だ。人口減少が止まらない日本と比較すると悪くはないかもしれないが、EUから離脱したイギリスの人口増加率の低迷は2021年も続くのではないか?EUから離脱し、国境を作ったイギリス経済の今後には要注目だ。


アメリカでは、乱射事件が毎日のように起きている。銃社会のアメリカでもちょっと異様なことではないか?国民にこんなに不満が溜まっている時に、バイデン政権が出来ることは景気を加速させることしかないのでは?


アメリカでは、ワクチン接種が順調に進んでおり、16歳以上の若者へのワクチン接種もはじまった。それでも感染は引き続き拡大を続けている。一日の新規感染者数は約8万人だが、経済をストップさせることはないだろう。経済再開、バイデン政権による経済対策で市場は盛り上がり、株式市場は高値を試している。殆ど観光客がいなかったワイキキビーチにも人が戻って来ている。


FRBによる金融引き締めは当面行われないことから、米10年債利回りは1.59%と他国と比べれば魅力的かも?しかしながら、米経済は順調に回復しており、今年の実質成長が7%近いものになるとすれば、金利は明らかに低すぎる。


今後のアセットアロケーションは非常に難しいとしか言いようがないが、大きな株式のポートフォリオを保有している投資家にとっては、そのヘッジとしての米国債投資は魅力的かもしれない。繰り返しなってしまうが、金利が低すぎるというのが悩ましいところだ。


新年度入りした日本の投資家は高値が続いている外国株式を売却して、外国債券を買いだしたかもしれない。米金利の上昇は一服している。財務省によると、4月第1週(4/4-4/10)の対外中長期債投資は、1兆7,144億円の買い越しだ。一方、外国株式は6,233億円の売り越しとなっている。


また、外国人投資家は3月の最終週と4月の第1週で日本株式を1兆6,185億円買い越している。また日本の中長期債も1兆7,981億円買い越している。



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