篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 5/3/2024
米連邦準備理事会(FRB)は4月30日-5月1日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25-5.50%に据え置くと全会一致で決定した。
パウエル議長は、利上げの公算は依然として小さいとしたが、金利据え置きが長期化する可能性を示唆、利下げ開始に必要な「より大きな自信」を得るには、これまで予想されていたよりも時間がかかる可能性が高いとの見方を示した。パウエル議長は記者会見で「インフレは依然として高すぎる」とし、「インフレ低下に向けたさらなる進展は保証されておらず、先行きは不透明」と指摘。「より大きな自信を得るには予想よりも時間がかかりそうだ」と述べた。
インフレ率は年内に低下すると引き続き見込んでいるとしたが、「インフレが予想以上に持続し、労働市場が堅調を維持しながらもインフレが横ばいで推移し、確信が高まらないような状況になれば、利下げを見送るのが適切なケースとなるだろう」とし、「利下げしない道と、利下げする道がある。データ次第だ」と述べ、年内利下げ開始に不透明感が残る結果となった。
そんな中発表された4月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比17万5,000人増と、市場のコンセンサスの24万3,000人増を下回るとともに、3月から伸びが鈍化した。失業率も3.9%に上昇、賃金の前年比での伸びも3.9%と約3年ぶりに4.0%を下回った。
アメリカの労働市場は引き続き堅調だ。米連邦準備理事会(FRB)が利下げを実施しないにもかかわらず、企業の雇用は好調を維持し、失業率は小幅な上昇にとどまっており、パウエルFRB議長のFOMCでの記者会見を聞く限り、早期利下げを期待するには無理がありそうだ。
ゴールデンウィークど真ん中だが、映画を観に行く人も多いのではないでしょうか? 「オッペンハイマー」は、「マンハッタン計画」で原子爆弾の開発・製造を率いた理論物理学者、J・ロバート・オッペンハイマーの半生を描いた作品だ。私が観に行った時には、映画館には若い人、カップルが多かった。せっかくの休日にポップコーンを食べながら観る映画としてはちょっと重い内容だ。最近は歌にしても、その歌詞の意味を問うものが多いし、映画もよりその解釈が難しいものが多くなってきている気がするが、一体彼らはどう感じたのだろうか?
戦勝国側や敗戦国側が描く戦争を題材とした映画は過去にも観たことはあるが、こういう世界観の作品を観たのは初めてだ。「君はどう生きるか」を観て、製作者の意図を理解できているかどうかはわからないが、自分は誰かの役に立っているかを自問自答したばかりの状況で、「オッペンハイマー」を観た。
コンピューターのない時代にオッペンハイマーが率いたチームが行ったことは、核分裂性物質を開発することと、核兵器自体の設計だったが、それ自体を描くことを目的とした映画ではないだろう。広島・長崎原爆投下前と投下後の科学者と政治家の心の動きを現代人に対し問題提起をしているような気がした。
「質量とエネルギーが等価であること」を明らかにしたアインシュタインも登場する。マンハッタン計画に参加しなかったアインシュタインとオッペンハイマーの仲が悪かったのか、良かったのかはわからないが、天才科学者たちが集結し、大量破壊兵器を作ったことで、世界を変えたことは事実だろう。
世界で唯一原爆を使用した国、アメリカ。唯一被爆した国、日本。同じ出来事でも捉え方が異なるのは当然だが、当時のドイツ、イギリス、そしてアメリカの科学者のレベル、与えられた課題を解決するだけではなく、新しいものを産み出す力、が圧倒的に高かったことを痛感した。
同時に、あの当時には想像できなかったスピードで変わっていく世の中で、人工知能(AI)のエンジニアたちの想いと現代の政治家との思惑とを重ね合わせ、考えさせられた映画だった。労働市場、物価動向、そして労働生産性の変化が今までの経験では説明できない世の中になるのかもしれない。
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