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執筆者の写真篠原竜一

篠原金融塾  グローバルマーケットウィークリー 5/5/2023

日本はゴールデンウィーク、イギリスでは戴冠式で盛り上がる中、米欧の中央銀行では政策決定会合が行われている。


米連邦準備制度理事会(FRB)は3日まで開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.25%引き上げ5.00~5.25%とすることを決めた。


FOMCの声明を見ると、1)経済活動は1-3月期に穏やかなペースで拡大、2)ここ数カ月の雇用の伸びは力強く、失業率は低水準、3)インフレは高止まり、というのがFRBの基本的な認識だ。


3月会合時に記した「幾分の追加的な政策引き締めが適切になると想定している」という文言がっ声明文ら削除された。委員会はインフレを徐々に2%に戻すのに適切な追加の政策引き締めの程度を見極める上で、金融政策引き締めの累積効果、金融政策が経済活動とインフレに及ぼす遅行効果、経済・金融の動向を考慮するとのことだ。


欧州中央銀行(ECB)は4日、政策金利を0.25%引き上げ、政策金利を3.25%とすることを決めた。7月から保有債券の圧縮ペースを速める方針も示した。ラガルドECB総裁は記者会見で、利上げを休止する考えはないことを明らかにした。


FRB とECBは、共に根強いインフレを低下させるために引き続き金利を引き上げる必要性を感じている。一方で、積極的な金融引き締めがどのような影響を経済に与えているかは気になっているようだ。


市場ではFRBによる利上げは打ち止め、ECBによる利上げは継続されるという見方が増えてきているが、そんな中発表された4月のアメリカの雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比25万3000人増え、失業率は3.5%から3.4%に低下、平均時給の伸びは予想を上回り、前年同月比4.4%となった。引き続き堅調だ。FRBが利上げサイクルを停止するという見方は楽観的すぎるのではないか?


米10年国債は3.4%、独10年国債は2.3%のレベルで越週しているが、国債を保有した時のファンディングコストは、アメリカは、5.00-5.25%、ヨーロッパは3.25%だ。逆ザヤとなっており、キャリー収益はマイナスだ。米国債、独国債ともに景気が大きく減速しない限り、とても正当化出来る水準ではなく、買いにくい。そうは言っても積極的な金融引き締めがど経済に影響を与えているのも事実であり、株式市場もとても割安と言える状況ではなく、買いにくい。難しい展開が続きそうだ。

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