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執筆者の写真篠原竜一

篠原金融塾 インフレvs景気 グローバルマーケットウィークリー 5/13/2022

米労働省が11日発表した4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+8.3%。と、3月の8.5%上昇から減速したものの、高い伸びを示した。変動の大きい食料品とエネルギー品目を除いたコアのインフレ率は、前年同月比+6.2%、3月の6.5%上昇からやや鈍化した。


物価が8.3%で上昇するとはどんなイメージなのか?


乱暴な計算であることはわかっているが、仮に8.3%のCPIの上昇が今後も続くと仮定すると、約8.7年で物価が2倍になるということだ。アメリカにある某日本のチェーン店で夕食時にとんかつ定食を注文すると日本円に換算すると約3,500円、サバの塩焼き定食は約3,900円するが、このペースで物価が上昇すると、8.7年後には、とんかつ定食は7,000円、サバの塩焼き定食は7,800円になってしまう。アメリカの労働市場は堅調であり、個人消費も力強さを失っていない中、中央銀行にとってこの物価の上昇はとても許容できるものではない。


識者の中には、アメリカのインフレ率の上昇が景気を押し下げることにより金利上昇も止まり、円安もそろそろ終わりじゃないかと言う向きもいる。確かにそうなるのかもしれない。ただ、何だかしっくりこない。そうならなかったらどうするのだろうと心配になってしまうのは私だけでしょうか?これほど日本とアメリカの物価に差がついてしまうと為替はもっと円安に進んだところで落ち着いてしまうかもしれない。輸入物価は更に上昇してしまうことになる。その時の日本経済に与える悪影響は深刻なのでは?


CPIを受け、11日の米国10年債は2.9%台半ばから一気に3.1%近辺まで上昇したものの、その後は2.92%まで値を戻す荒っぽい展開となった。重要な指標が予想の範囲内だったことから一旦はショートカバーが短期債から長期債迄全体に入ったということだろう。その後10年債は2.82%迄買われる展開となったが、債券市場は、インフレと成長懸念との間で綱引きの状況であり、週末には2.93%迄売られて越週。債券市場から見れば、株式市場が落ち着けば、金利が上昇し、株式市場が下落すれば金利が低下する展開が今後も続きそうだ。そして株式場から見ると、金利が上昇すると株式市場は下落し、金利が低下すると株式市場は上昇するといった展開となりそうだ。


ロシアによるウクライナ軍事侵攻は長期化の様相を呈している。中国では引き続きゼロコロナ政策が実施されている。世界経済の観点から考えるととても非効率な事態が続いている。グローバリゼーションとは効率化と多様化の歴史。その巻き戻しの動きにより、非効率なことがこれからも続いてしまうと、それは、明らかに景気を押し下げる要因となるが、同時に物価を押し上げる要因にもなるので、当面マーケットはボラタイルな展開が続くものと思われる。




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