篠原金融塾 アメリカの輸入物価 グローバルマーケットウィークリー 5/17/2024
市場で注目されていた4月の米消費者物価指数(CPI)、米小売売上高は、ともに予想をやや下回る内容となった。
4月のコアCPIは前年同月比3.6%上昇となり、伸び率は2021年4月以来の低水準となった。何はともあれ、コアCPIは、毎月の伸びが鈍化してきたということは言えるだろう。
米小売売上高は、市場予想の0.4%増(前月比)に対し、横ばいと予想を下回る結果となったが、リセッションを意味するほどの減速を示唆するものではない。
これらの経済指標を受けて、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)までに利下げを実施する確率が維持されるころになったと私は理解しているが、ダウ工業株30種平均、S&P500種指数、ナスダック総合指数がいずれも過去最高値を更新したということは、市場は7月のFOMCでの利下げを期待しているのかもしれないが、それは少しはしゃぎすぎだろう。
アメリカ経済はどこに向かっているのだろうか?
中国は、太陽光パネルや、再生可能エネルギーに使われる重要鉱物の生産で、世界市場を支配しているが、ジョー・バイデン米大統領は、主に国内政治および同氏の環境保護構想に基づき、中国製品に対してドナルド・トランプ前大統領が課した関税より厳しい関税を新たに課す。対象品目に含まれるのは、電気自動車(EV、100%)、鉄鋼・アルミニウム(25%)、リチウムイオン電池(25%)、重要鉱物(25%)、太陽電池(50%)、半導体(50%)、港湾クレーン(25%)、医療用注射器・注射針(50%)。
輸入物価は上がるだろう。これによってアメリカ人は、輸入品により多くの代金を支払うことになる。そして、この関税により、アメリカでのEVの価格は上がることになり、やりたいこととは逆行しているように見える。
市場は、経済指標に右往左往しているが、バイデン大統領による経済政策にも留意すべきだろう。
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