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執筆者の写真篠原竜一

篠原金融塾  債務上限問題とG7 グローバルマーケットウィークリー 5/26/2023

イエレン財務長官はこれまでアメリカが6月1日までに支払いに必要な資金を使い果たす可能性があると述べていたが、金曜日、アメリカは6月5日まで債務不履行の可能性を押しとどめるのに十分な蓄えがあると発言。金曜日のマーケットは、期限までに議会で可決され、大統領が署名するという楽観的な見方が広がり、株式市場は、高値で取引を終えた。


報道によれば、アメリカの下院共和党は、国の債務上限に対処し、デフォルトを回避するためにホワイトハウスと暫定的な合意に達したようだ。マッカーシー下院議長は、この合意には「歴史的な支出削減」が含まれており、31日には下院での投票に備える予定だと述べた。一方、バイデン大統領は、「妥協の産物であり、誰もが望むものを得られるわけではない」と述べている。


何はともあれ、この合意にほっとひと息、グローバルに株式市場は高値を試すものと思われるが、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視しているコアPCE価格指数(4月)は前年比+4.7%と、3月+4.6%から予想外に伸びが拡大、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利上げが実施される可能性が高いことを忘れてはいけない。


日本では、G7広島サミットが閉幕した。評価するという人が多いだろうと思っていたら、取り上げられるニュースは、1)評価できないという内容のものか、2)G7広島サミットを追い風に解散、という内容が多い。


たしかに5年後、10年後にあの時の広島サミットで決めたことが花開いたねと言えることは少ないのかもしれないし、核兵器なき世界への具体策がないという批判はその通りだろう。批判する報道の方が読者の注目が集まるのかもしれない。また、支持率が上がっている今こそ与党にとっては解散のチャンスで、今解散すれば与党は勝利するかもしれない。


でも本当にそういうことで良いのでしょうか?


G7首脳がそろって平和記念資料館を視察、その後、慰霊碑への献花・黙祷をささげたことは初めてのことで大きな成果があったと考える方が有意義な気がするのは私だけでしょうか?


修学旅行で平和記念資料館に行った人は少なくないでしょう。訪問を楽しみにしていた人は多くないかもしれないが、それでも強烈に印象に残っている人が殆どだと思う。皆想いは違っても、その後の人生に影響を与えるような大きな出来事だったはずだと私は思っている。世界のリーダーたちが何かを感じたと信じたい。


また、G7サミットはセレモニーなのかと批判している人もいる。私は、サミットは、間違いなくセレモニーだと思う。どう考えても、あの場で初めてのことを議論し、何かを決定しているはずがない。どちらかと言えば、意見は合意出来なかったとしても、問題点・課題を共有するイベントなのでは?


批判ばかりではなく、もっと良いところをみつける方が良いのではないだろうか?本来、批判的思考とは相手を批判することではない。より良い方法をどうやって見つけるかという思考のはずだ。


核兵器廃絶のために日々戦っている人にとっては、核兵器なき世界への具体策がないと憤慨する気持ちはよくわかる。しかしながら、ロシアがウクライナに侵攻、台湾情勢も不透明な中、それでも一歩前進と思えることを見つけることの方が有益な気がしてならない。


G7広島サミットでも取り上げられたジェンダーの問題、また、少子化対策などすぐにでも取り組まないとならない課題は少なくないはずなのに、解散って、それを主張している与党の政治家の名前を知りたいと思ってしまうのは私だけだろうか?


政治的なイベントが終了、マーケットの注目は再びファンダメンタルズに戻りそうだ。



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