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執筆者の写真篠原竜一

篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 5/31/2024

アメリカの2024年第1・四半期の国内総生産(GDP)速報値は、年率換算で前期比1.6%増とその伸び率は前四半期の3.4%増から大幅に鈍化。企業の在庫積み増しペース鈍化や政府支出減が主因だと思うが、市場は個人消費の伸び率が縮小したことを受け、景気減速懸念が広まったという捉え方をしているようだ。一方、食料とエネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)指数は3.7%上昇し、前四半期の2.0%上昇から伸びが加速した。


アメリカの経済活動の3分の2以上を占める個人消費は,その伸びは前四半期の3.3%増から減速したものの2.5%増であり、加えて設備投資、住宅投資ともに堅調であり、米連邦準備理事会(FRB)は、引き続きアメリカ経済は底堅いと捉えているだろう。しかしながら、インフレ率の予想外の上昇は心配材料で、FRBによる利下げをもう少し待つべきとの見方が広まりそうだ。


内訳をみると、可処分所得は1.1%増であり、インフレ率の高止まりが個人消費を下押しするかが今後のポイントとなるだろう。米商務省が翌31日に発表した4月の個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比2.7%上昇、伸びは3月から横這いとなり、第1・四半期から加速していないことが確認されたものの、個人消費支出は前月比0.2%増と、3月の0.7%増から鈍化。今後は消費者支出が低迷する可能性がでてきているのかもしれない。


仮にアメリカの個人消費が本格的に減速するという見方が広まるとすれば、マーケットの雰囲気は一転するだろう。株式市場が下値を試し、債券市場に資金が流れ、大きく金利が低下、FRBによる利下げの催促相場となる可能性もでてくるかもしれない。


斯かる状況下、日本銀行による追加利上げが話題となっている。今後2年の間に政策金利は0.5%程度の利上げが行われるというのがマーケットのコンセンサスとなっている。日本銀行は31日、6月の国債買い入れオペの予定を公表した。国債買い入れオペの減額を行う絶好のチャンスだと思っていたが、1回あたりの買い入れ額や実施回数を5月から据え置いた。


日本銀行のバランスシート縮小の本丸は国債ではないだろう。不動産投資信託(J-REIT)、上場投資信託(ETF)のはずだ。アメリカ経済が個人消費の減速が主導する形で本格的に減速するとすれば、FRBは利下げを実施することになる。そうなるとグローバルマーケットの雰囲気は一気に変わるはずだ。日本株もその影響を受けるだろう。日本銀行は利上げ、並びにバランスシート削減の絶好のチャンスを逃すことになる。金利の上昇はそんなに悪いことなのだろうか?少なくともマーケットの金利形成を歪ませている国債買い入れオペの減額はなるべく早く実施したほうが良いと私は思う。


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