篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 7/7/2023
米労働省が7日発表した6月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は20万9,000人増、失業率は3.6%。平均週間労働時間は34.4時間、時間当たり平均賃金は前年同月比4.4%上昇。
非農業部門雇用者数は予想を若干下回ったものの、賃金は堅調な伸びを維持し、労働市場は引き続き堅調だ。25,26日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げが実施されフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは5.25~5.50%になるだろう。
斯かる状況下、米10年国債が売られ、4.07%での越週となっている。独10年国債も大きく売られ、2.64%で越週する中、日10年国債は0.45%、日銀の金融政策を受け、金利上昇にはキャップがかかっている状況だ。
金利差拡大は円安要因であることは確実で、インバウンド需要にとってはポジティブである。加えて、海外投資家にとっては、円安は絶好の日本株の買い場なのかもしれない。海外投資家は、4月以降、日本株を約5兆円買い越している。日銀は異次元の金融緩和政策を維持する方針を示しており、投資家は株式を購入する資金を安く借りられる環境が」続いている。
アメリカの本格的なリセッションは来るかもしれないし、来ないかもしれない。正直わからない。しかしながら、金利差拡大は、ここにきて落ち着きを示している日本の輸入物価にとっては押し上げることはあっても逆はないわけで、日本株・不動産市場は堅調なものの、アメリカの景気を心配する暇があったら、本格的な増税が予想される日本の景気を心配したほうが良いかもしれない。
他の先進国が金融政策を転換する中、日本だけが異次元の金融緩和を継続していることは大きな問題だと思う。為替介入で円を市場から吸収するくらいなら、円を大量に市場に供給している量的緩和政策を転換、なだらかな金利上昇を容認したほうが良かったはずだ。
しかしながら、日本株に大きな関心を寄せているのは、バフェット氏が日本株を買ったという報道を受け、それについてきた「日本経済や日本企業についてほとんど何も知らない投資家」も多く、日銀による金融緩和政策の転換は日本株・不動産市場にとっては大きなリスクだ。米欧の中央銀行が利上げを実施している間であれば、まだチャンスはあるが、その機会を逃せば、いよいよ日銀には異次元の金融政策を続ける以外選択肢はなくなる。
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