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執筆者の写真Ryuichi Shinohara, CEO

篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 7/30/2021

米ハイテク大手の4-6月期決算が好調だ。各社の売上高は軒並み急増している。アルファベットの売上高はオンライン広告の急増で62%増加。新型コロナの感染拡大を受けて、人々のデジタルサービスの利用が拡大している。より多くの人がより多くの問いかけを行うことで、グーグルはどんどん賢くなっている。アップルは外出制限、リモートワークでノート型パソコンやタブレット端末の需要が高く、過去最高益。マイクロソフトの売上高も過去最高を記録。プラットフォームを牛耳るアメリカ経済は絶好調だ。


ただ、気になることもある。サプライチェーンの世界的な混乱がここにきて、アップルのような大手企業でさえ、半導体危機を免れられなくなっていることだ。アップルは、7-9月期には供給制約がスマホにも広がるとし、36%の増収となった4-6月期から伸びが鈍るとの見通しを示している。


そんな中、FOMCが開催されたが、FRBの現状認識は次の通りだ。「ワクチン接種の進展や大型の政策支援を背景に、経済活動と雇用に関する指標は引き続き力強さを示している。パンデミック(世界的大流行)で最も深刻な打撃を受けたセクターには改善が見られるが完全な回復には至っていない。インフレ率は主に一時的な要因により上昇している。経済および米国の家計・企業への信用の流れを支援する政策措置などを反映し、全体的な金融情勢は依然として緩和的だ」


今後については、「経済の道筋は引き続きウイルスを巡る状況に左右されるだろう。ワクチン接種の進展は公衆衛生の危機が経済に及ぼす影響を引き続き軽減する可能性が高いものの、景気見通しに対するリスクは依然として残されている」と慎重姿勢を崩していない。


どうやら新型コロナは、ワクチンを打ったからもう大丈夫ということではないらしい。米疾病対策センター(CDC)が5月に公表したガイドラインでは、ワクチン接種者は大半の屋内および屋外において、マスク着用や対人距離の確保をもはや行う必要はないとしていたが、今回新たな指針を示した。感染力の強い新型コロナ変異ウイルス「デルタ株」の流行を理由に、感染が広がっている地域ではワクチン接種を完了した人も公共の室内空間ではマスクを着用するよう勧告した。また、CDCは、新型コロナウイルスの変異株「デルタ」には水ぼうそう並みの感染力があり、ワクチン接種を完了している人にも感染する可能性があるほか、従来のコロナウイルスよりも重症化する恐れがあるという内部文書を公表した。それでも、「ワクチン未接種者が感染する確率は、ワクチン接種を完了している人に比べ3倍高く、重症化もしくは死亡するリスクは10倍以上高い」ので、ワクチン接種の効果は絶大だ。


市場参加者の中には、先週発表されたアメリカの2qGDPは予想ほど強くなかったという向きも少なくないが、そんなことはない。アメリカの2qGDP成長率は年率換算で6.5%となり、アメリカ経済の規模はコロナ前の水準に戻った。V字回復と言って良いだろう。個人消費が堅調だ。個人消費は1-3月期の11.4%増に続き、4-6月期は11.8%増加した。


個人消費がこれだけ強いのに、投資が鈍化しているのは何故だろう?需要が増えているのに、同じペースで生産が拡大していないということだ。だから在庫が減っている。これが経済成長を押し下げている。ということは心配した方が良いのはやっぱりインフレだ。コアの個人消費支出(PCE)価格指数は6.1%上昇している。本当にインフレ率の上昇は一時的なのだろうか?


アメリカ経済は自律的に回復できるはずだが、民主党政権とFRBはアクセルを踏み続けている。過剰流動性をいつまでも放置していることの副作用が心配だ。財政赤字の拡大は止まらず、ドルの頭も重くなってきた。投資家は、インフレ率が更に上昇するリスクシナリオを想定しておいた方が良い。


日本ではオリンピックが盛り上がっている。今回のオリンピックの大きな特徴は、男女混合種目が増えていることではないだろうか?個人競技でも、混合リレー、団体戦などを通じて、今までにはなかった楽しみが出来たし、観ていてとても面白い。素晴らしい取り組みだと思う。


一方、新型コロナ感染拡大が止まらない。オリンピックが日本の感染拡大を加速させているとは思えないが、同時にバブル方式は既に弾けているのも事実。街中で見かける外国人の数は明らかに増えている。東京都内では27日に、新たに2,848人が新型コロナウイルスに感染していることが確認され、1週間前の火曜日の倍以上となり、驚いたばかりだったが、31日には4,000人を超えた。「さすがに、まずいね!」と国民が自粛し始め、落ち着きを取り戻すのを待つしかなさそうだ。


「政府は何をやっているのだ!官僚は何をやっているのだ!」という批判はあまり意味がない。何故なら、オリンピック関係者が大変な努力をしているのと同様に、新型コロナ関係者も、必死に感染拡大を防止しようと、我々の想像以上に頑張っているからだ。大きな問題は、日本のリーダーからのメッセージが全く国民に届いていないということだ。


そして、これからの更なる問題は、政府から、「ワクチン接種が進めば大丈夫。だから、ワクチン接種をお願いします!」と言われ続けてきた国民に対して、日本のリーダーは何を伝えるのか?


職域接種などが始まり、ワクチン接種はかなりのペースで進んできたが、それでも緊急事態宣言を延長しないといけない状況が続いていることについて、何かわかりやすいメッセージを国民に対して発信すべきだ。こんなに何回も、それも1か月以上続いてしまうと、誰の、何のための、緊急事態かわからなくなってしまう。


「コロナ慣れ、気が緩んでいる」という言葉が国民から出てくるのは仕方がないが、日本のリーダーたちが使うべき言葉ではない。「だって、ワクチン打てば大丈夫だって言ったじゃないか!」と言われた時に返す言葉がない。私は31日に2回目のワクチン接種が終わった。年内に接種出来ればと思っていたので、思っていた以上に早く接種出来た。それでもまだワクワク感はない。


アメリカ経済は年率6.5%で成長している。その経済を回しているのはワクチン接種をした人達であることも事実だ。日本ではワクチン接種をしようが、しまいが、皆きちんとマスクをし、感染防止に努め、オリンピックまで開催しているというのに景況感は改善しない。腕が痛くなってきた。。。熱も出てきた。。。




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