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執筆者の写真篠原竜一

篠原金融塾  グローバルマーケットウィークリー 8/5/2022

JPモルガン・チェースは下期の米国株の反発を予想している。一方、ゴールドマン・サックスは、リセッション懸念の高まりから投資家の緩和的な金融政策スタンスへの期待は行き過ぎており、引き続き株式市場には慎重だ。プロ中のプロの意見が分かれている。


そんな中発表されたアメリカの7月の雇用統計は、債券投資家にとっては最悪な内容だった。非農業部門雇用者数が前月比52万8,000人増と予想を大幅に上回り、就業者数は新型コロナ禍前の水準に回復。家計調査によると、失業率も3.5%に低下しているが、6万3,000人が労働市場から離脱したことが主因であり、良い失業率の低下ではないが、労働供給が回復していないということは、当面賃金上振れリスクが高いということだ。


FRBのパウエル議長はFOMC後の記者会見で、「次回会合でも異例の追加利上げが適切となる可能性がある」としつつ、その判断は「今からその時までに得られるデータ次第だ」と述べているが、今回の雇用統計から考えると米連邦準備制度理事会(FRB)が9月の会合で利上げペースを緩めるのは難しくなりそうだ。


先週の米国債市場は、2年債が34bp金利上昇し、3.23%、5年債が28bp金利上昇し、2.96%、10年債が17bp 金利上昇し、2.83%での越週。イールドカーブは大きくフラットニングしている。


当面はアメリカの経済指標に右往左往する展開が続きそうだが、良いニュースもある。原油価格が、高インフレによる景気減速やそのエネルギー需要への影響を懸念、ロシアのウクライナ侵攻前以来、約半年ぶりの安値を試していることだ。今後のインフレ動向には大きなプラスであり、インフレがピークを打てば、世界の中央銀行の利上げのペースは鈍化するものと思われる。


たしかに、ゴールドマン・サックスの言うように、市場のリセッション懸念は行き過ぎているようだが、仮にインフレがピークを打てば、JPモルガン・チェースの言うように下期の米国株は反発しても不思議ではない。





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