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執筆者の写真篠原竜一

篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 9/2/2022

グローバルマーケットは大荒れの展開だ。


米10年債は22ベーシスポイント(bp)、独10年債は29bp、仏10年債は34bp上昇、株は大きく売られ、ドル円は140円台乗せを示現している。パウエルFRB議長が、年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」の講演で、たとえ労働市場の弱体化を招くとしてもインフレ退治に注力するというFRBの決意を強調したことが大きな要因だろう。


金曜日に発表されたアメリカの8月の雇用統計によると、非農業部門就業者数は31万5000人増加、力強い内容となった。平均時給は年率換算で3.8%上昇と賃金の伸びが鈍化(前月は5.2%の上昇)したことは良いニュースだ。さらに、失業率は0.2%上昇して3.7%となったが、これは求職者が増えたこと、労働参加率が上昇したことが理由であり、賃金上昇のペースが一段と緩やかになれば、労働市場の過熱が物価を押し上げるという懸念が後退する可能性がでてきたと言えるのではないだろうか?


しかしながら、賃金上昇のペースが鈍化したのは事実だが、引き続き高インフレに対処するため、9月20~21日開催予定の連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.50%もしくは0.75%の利上げを実施するというシナリオは変わらないだろう。


現在のFF金利の目標レンジは2.25~2.5%。9月末には3%近辺に引き上げられる。9月のFOMCでの利上げ幅50 or 75bpで右往左往するのは得策ではない。最終的にFF金利の誘導目標は、2023年には3.5%を超える水準に引き上げられる可能性が高いと考えておくべきだろう。


アメリカと日本の中央銀行の金融政策の方向性が真逆な間は、ドル円は上値を試しつ続けるだろう。140円を抜ければ次は150円、150円を抜ければ、次は160円、上値の目途はという質問に答えるのは非常に難しい。しかしながら、悪い話ばかりではない。需給ギャップがマイナスな日本にとっては、どうやって需要を産みだすかは重要な課題だが、円安によって、インバウンド需要が盛り上がることは間違いない。従って、国を開ければ爆発的に景気を押し上げるはずであり、円に対する買いニーズもでてくるはずだ。そうなればおのずと円安はとまるはずだ。





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