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執筆者の写真篠原竜一

篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 9/3/2021

アメリカの金融政策に注目すべきだが、その前にアフガニスタン政府が8月15日に崩壊したことについて触れておきたい。アメリカにとってみれば、20年続けてきたアフガン戦争が終わった。だからと言ってこの地域が繁栄し、今後の安定が約束されている訳ではない。その逆だ。ロシア、中国、そしてイギリスもこの地域に対する戦略を再構築するだろう。今後アメリカは、国内の課題解決に力を注ぎ、中国との覇権争いに集中することになる。ロシア、中国、そして欧州各国にとってもアメリカの完全撤退は嬉しい話ではないはずだ。アメリカの関わりなくして、この地域の安定は果たして実現できるのだろうか?


911から20年。アメリカそして中国が繁栄した20年と言っても良いだろう。これからの世界秩序を考えるにあたり、大変重要な局面に差し掛かっている。


こんな重要な局面にもかかわらず、日本では菅首相が9月下旬に行われる自民党総裁選挙に立候補しない方針であることが明らかになった。内閣官房長官の在職期間が1,290日と、歴代1位の在職日数を記録した菅首相が安倍前首相の後任としての総理大臣として最もふさわしいと思われたが、わずか1年での退任だ。素晴らしい政治家、指導者であることに疑いはない。しかしながら、「政権の方針に従わない官僚には異動してもらう」という発言がこの政権を1年で終わらせることになったと私は思う。残念だ。オリンピック、パラリンピックは大いに盛り上がったが支持率は回復しなかった。感染症が世界的に大流行し、地政学リスクが高まっている中で、本来国民が耳を傾けたくなる日本のトップが9月末に退任する。


さて、アメリカの経済指標を見てみよう。8月の雇用統計では、非農業部門就業者数は前月比23万5000人増にとどまり、市場予想および5~7月の月平均(87万6000人超増加)をいずれも大きく下回った。これまでの大幅な雇用増に貢献してきたホスピタリティ産業で雇用の伸びが鈍化したことが大きいようだ。


一方、失業率は6月が5.9%、7月が5.4%、8月は5.2%となり、着実に低下している。平均時給は、前年同月比4.3%と大幅な上昇を示した。FRBが年内に債券購入額の減額(テーパリング)を始めるのがメインシナリオであることに変わりはないが、次回のFOMCでテーパリングに着手するというシナリオに水が差されたのは事実だろう。前回7月27~28日のFOMCでは、当局者が年内の緩和縮小開始を視野に入れていることが示唆されたが、「デルタ株」の感染拡大の前のことであり、且、アメリカ国内では自然災害も続いており、8月の雇用統計が予想を下回ったことで、さらに雇用データを確認したいとの声も出てくるだろう。テーパリング議論は一旦小休止するかもしれない。


先週の米国債市場は、インフレ懸念が払しょくされない中、雇用統計を受け、テーパリングが直ちに開始されない可能性が高まったことから、イールドカーブはスティープニングしている。今後も弱い経済指標=スティープニング、強い経済指標=フラットニングという動きが継続するのではないか?世界的に株式市場は雇用統計を控え、小動きに終始したが、日本株は、菅首相辞任の報道を受け、大きく買われた。誰が総理大臣になっても政府支出を拡大させることは間違いないが、河野太郎氏が新首相となれば、彼から発せられるメッセージは明快であるため、外国人投資家も好感するものと思われ、株式市場は更に上値を試す展開もあるのでは?




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