篠原金融塾 ハリケーン・台風 自民党総裁選挙 グローバルマーケットウィークリー 9/17/2021
8月のハリケーン「アイダ」、先週の「ニコラス」に見舞われた米メキシコ湾岸の原油生産の約3割が依然停止しており、原油が引き続き買われている。サプライチェーンにおける品不足が起きている状況の中、石油精製施設が稼働停止に陥ったことで、原油価格が上昇し、素材の供給はさらに滞りそうだ。コンテナ、輸送船、トラックも不足しており、当面インフレ率の上昇は続きそうになってきた。
日本でも台風が上陸し、被害が出ているが、日本は選挙の季節になった。自民党総裁選が17日午前告示され、河野太郎行革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行が立候補を届け出た。総裁選は、国会議員票383票と、同数の党員・党友票(383票)を合わせ766票。1回目の投票で誰かが過半数をとれない場合は上位2人で決選投票を行う。菅義偉首相と戦うつもりだった野党は慌てている。テレビの報道に問題があるのかもしれないが、野党各党から国民に届いている声は、「こんな大変な時に党首を決める選挙とはけしからん」という批判だけだ。
菅総理は内閣官房長官の在職期間が1,290日と歴代1位である。素晴らしい政治家なのは間違いない。その手腕には物凄く期待していたが、「政府の方針にあわない官僚には異動してもらう」という発言が最悪だったと私は思う。そんなことを言う上司についていく部下などいない。「俺の話を聞け。言うことを聞けない奴はクビだ」って、チームのミーティングで発言したら、優秀な人ほど、転職活動を始めるはずだ。
偉くなればなるほど、なかなか難しいことなのは良くわかるが、物事の本質を理解し、社会課題を発見するためには、そして、その課題を解決するためには、自分に対し、堂々と反対意見を進言してくる人の話に耳を傾け、自分の右腕にしていかないといけないはずだったのに。結局国民とのコミュニケーションのずれを最後まで修正することが出来なかった。本当に残念だ。
私の各候補者のイメージは次の通り。河野氏は理路整然とはっきりと話をする政治家。外国人投資家には当然だが評判が良い。岸田氏は超エリートだが、力強さに欠け、歯切れが悪い。大規模な景気対策を実施することに市場は期待している。高市氏は凄みが出てきた。でも、いつも何かを釈明している。野田氏は頭脳明晰。凄い人だなと思う。そして、4人すべてに共通しているのはアメリカでの生活を体験しているということだ。派閥ではなく、政策を議論して欲しいものだ。
メディアの報道を聞く限り、今回の投票は派閥に関係なく、基本自主投票だ。新しい自民党とは言うものの、水面下での戦いは激化しているようで、これぞまさに「ポリティックス」という印象。
マーケットは、原油価格が上昇、日本を除いてはグローバルに株式市場の頭が重い。金利は上昇している。今後の大きなポイントは、アメリカのインフレ動向と金融政策であることに変わりはない。先週と同様の相場展開となりそうだ。
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