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執筆者の写真篠原竜一

篠原金融塾 FRB vs BOJ 正反対の金融政策 グローバルマーケットウィークリー 9/20/2024

米連邦準備制度理事会(FRB)は18日まで開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.50%引き下げ、4.75-5.00%にすることを決定した。


FOMC後に公表した金利見通しでは、24年末時点の失業率を4.2-4.5%と予想、11月と12月の会合で少なくとも0.25%ずつの利下げを実施するという予測になっている。25年には計1.00%の利下げを実施するとの見通しだ。


私は、0.5%の利下げが必要なほどアメリカ経済は低迷していないと思っているが、ジェローム・パウエルFRB議長の見方も大きく異なるとは思えない。パウエル氏の考え方は、米経済が引き続き健全な状態にある中で金融政策の調整を行ったということなのだろう。


インフレ率が、FRBの目標水準である2%に向けて下がってきているため、FRBが名目金利を押し下げなければ、実質金利が上昇することになる。インフレと失業率のリスクがほぼ均衡しているもとでの0.50%の利下げは、FRBは後手に回らないという宣言なのだろう。


一方、日本銀行は、金融政策決定会合で、政策金利の無担保コール翌日物金利を0.25%程度で維持することを決めた。植田総裁は会合後の記者会見で、経済・物価の見通しが実現していくとすれば、「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と語った。米国経済を中心とする世界経済や金融・資本市場の動向が、経済・物価見通しに不透明感を与えているとし、「直ちに見通しの確度が高まった、すぐ利上げだということにはならない」と語った。


連続利上げどころかすぐには利上げを行うつもりはないというメッセージだ。


日本銀行がどのデータを分析し、何を重視し、どのような金融政策を実施するのかわかりにくいという批判が出ても仕方のない状況だ。FRBによる利下げが予想を上回ったにも関わらずドル円は140円台を下回ることはなく、逆に利上げには慎重だという日銀総裁の発言を受けてドル円は144円台まで買われ、結局143円台後半での越週となった。


繰り返しになるが、日米の金融政策が全く逆になることには引き続き注目する必要がある。アメリカ経済のソフトランディングが実現できるのであれば、大きな問題にはならない気もするが、その場合は、日本銀行にとっては利上げを実施しやすい環境となり、円キャリー取引の巻き戻しが入りやすいかもしれない。


一方、アメリカ経済の減速により、米金利の低下が主導する形で金利差縮小が進むとすれば、日本銀行による利上げはより慎重なものになり、日本銀行の注目は、より金融市場の安定を優先するだろう。いずれにせよ、金融政策が全く逆になれば、市場のどこかに負荷がかかることは間違いなく、グローバルマーケットのボラティリティが思わぬ形で上昇することも十分にあることを忘れてはいけないだろう。

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