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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 9/25/2020

変な話だが先行き不透明感が高まるとドルが買われる。その先行き不透明感がアメリカ発でもだ。先週はそんな週だった。

欧州での新型コロナウイルスの感染拡大に加え、新型コロナウイルス米追加刺激策を巡る不透明感、米景気回復の鈍化懸念、そして米大統領選が近づいていることなどから先行き不透明感が強まっている。

株式市場は、NASDAQ以外は下値を試す展開となった。経済が正常化するプロセスではNASDAQには調整の売りが入るが、その逆ではNASDAQには買いが入る。グローバルに国債には買いが入り、イールドカーブはブルフラットニング。ドルは買われ、金は下落。

大統領選の投票日が近づいてきたが、引き続きボラタイルな展開が続くものと思料。

新型コロナウイルス追加経済対策については、下院民主党が2兆2,000億ドル規模の対策を策定しているが、採決が行われるかどうかは未定だ。

トランプ米大統領は、18日に死去した米最高裁判所の女性判事ルース・ギンズバーグ氏の後任に、保守派のエイミー・バレット連邦控訴裁判事(48)を指名した。バレット氏の指名が承認されれば、保守派判事はリベラル派に対し6対3の割合となり、最高裁の保守化が進む。議会上院(定数100)の承認が必要だが、共和党が過半数の53議席を握っており、バレット氏の承認は確実とみられているが、ギンズバーグ氏の最後の願いが、自身の後任人事は、新しい大統領の下で行って欲しいというものだっただけにリベラル派の強烈な反発を喰らっている。

このトランプ大統領の決定が、大統領選の投票行動にも影響を与える可能性もあるので注目だ。最高裁で保守派の判事が多数を占めれば、人工妊娠中絶の権利の大幅な制限、宗教に関する個人の権利の強化、銃の所持に関する権利の拡大、性的少数者(LGBT)の権利拡大の制限などの可能性があると言われている。

とても気になることがある。政治家がFRBを絶賛している。FRBは先月、政策枠組みの変更の一環として、低インフレが続いた場合に一定期間のインフレ上振れを目指す方針を表明したが、24日まで3日間にわたって開催された米議会公聴会では、政治家から懸念の声は一言も聞かれなかった。日本の野党議員・一部のマスコミのように批判すること、反対することに意味があるというのも困るが、今回の見直しで、物価に上昇圧力がかかり始めるとみられる水準以上に失業率が改善しても、それだけでは予防的な利上げは行わない方針を表明しているにもかかわらず、インフレ率の上振れ容認について懸念を表明する議員が一人もいないというのはいかがなものか?

足許すぐに何かが起こることはないだろう。何かが起こらないように流動性を供給しているわけだから。しかしながら、中・長期的には政治家・セントラルバンカーが一体となってバブルを作り出し、それが弾けないように一致団結しているとすれば危険だ。本来は、新型コロナに対応する為に実施した政策で、市場が一時的に歪んでいるということを理解した上で運営されるべきであるにもかかわらず、そのやりすぎの政策を政治家が称賛している。良い訳がない。



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