篠原金融塾 まだ金利は上がるかもしれない~グローバルマーケットウィークリー 10/06/2023
9月のアメリカの雇用統計によると、非農業部門就業者数は前月比33万6000人増加と市場予想を大幅に上回る内容。失業率は8月から横ばいの3.8%。平均時給の伸びは前年同月比4.2%。
雇用統計発表直後のマーケットでは米株・米国債ともに大きく売られる展開となったが、市場のポジションは大きくショートに傾いていたものと思われ、売り一巡後は米株・米国債ともに買戻される展開となった。しかしながら、まだ安心出来る状況ではない。アメリカ経済は高金利、高インフレ、学生ローンの返済再開、原油高などを受け減速するという向きが増えてきたが、足許は逆に力強さが増していると言ったほうが良いだろう。
まだ金利は上がるかもしれない。
長期金利は急上昇、期間30年の住宅ローン金利は8.0%に迫る勢いであり、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げサイクルが最終局面であることに変わりはない。
FRBにとって頭の痛い問題は、7兆ドル超の米国債・米国モーゲージ債残高を抱えていることだろう。その残高は明らかに大きすぎる。現在バランスシートの削減を行っているが、仮に利上げを停止したとしてもその削減は続くだろう。
通常、モーゲージ債は利上げの最終局面からは米国債をアウトパフォームすることが多いが、FRBがバランスシートの削減(実質的にはモーゲージ債の売り手に回っている状況)では、投資家が積極的にモーゲージ債を購入するとは思えない。従って、逆イールドになっている米国債のイールドカーブはここから大きくスティープニングする可能性も頭に入れておく必要があろう。
日銀短観では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、前回の6月調査(プラス5)から4ポイント改善してプラス9だった。製造業では、幅広い業種で価格転嫁の進展しているようだ。非製造業では、インバウンドの回復が大きいだろう。国内大企業の景況感は悪くない。
仮にFRBが利上げを停止し、来年利下げに転じるような状況を想定すると、日銀は、海外経済の減速が日本経済に与える影響を意識せざるを得ない展開となる。日銀は早く動いたほうが良い。
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