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執筆者の写真篠原竜一

篠原金融塾 米国債金利はまだまだ上がる~グローバルマーケットウィークリー 10/14/2022

9月のアメリカの消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%上昇した。前年同月比では8.2%上昇。コアのCPIは前月比0.6%上昇し、前年同月比での伸びは6.6%と、40年ぶりの高水準を更新。この予想を上回るCPIを受け、米株・米国債ともに指標発表直後は売られる展開となったが、その後はショートカバーを巻き込みながら大幅に買い戻される展開となった。


しかしながら、米連邦準備制度理事会(FRB)にとっては、受け入れられないほど高水準のインフレが続いている。利上げペースの減速どころではない。11月のFOMCで0.75%の利上げが実施されることは間違いないだろう。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは現在3.00~3.25%だが、11月には3.75~4.00%に、12月のFOMCでも0.75%の利上げが実施され、年末のFF金利の誘導目標は、4.50~4.75%に引き上げる可能性が大きく高まった。結局、金曜日には米株・米国債ともに売られての越週となった。


気になるのはFRBを含め、多くのエコノミストが、インフレはある程度鈍化すると予想していたことだ。しかしながら、その兆候はない。ディスインフレの時代が終焉、インフレが高止まりする時代に戻ったのかもしれない。何故だろう?


もしかすると、世界的に低成長の時代が待っているのかもしれない。経済成長率は労働人口の成長率と労働生産性の上昇の相互作用で決まるが、先進国の労働人口は総じて減少、もしくは労働人口の伸びが鈍化していると言えるだろう。ということは労働生産性が今まで以上に上昇していかないと経済は大きく成長しない。加えて医療技術の進展で長寿化がグローバルに進んおり、労働人口に依存する高齢者が増える一方、少子化により若者の人口が増えない。そして、反グローバル化の動きから、世界的に人手不足の状況になっているのかもしれない。そうだとすれば、それは簡単に解決する問題ではなく、その状況が今後もインフレを押し上げる可能性があるのかもしれない。この仮説が正しいとすれば、低成長になっても思ったようにインフレ率が下がらずに、世界的に政策金利は想定外に引き上げられるのかもしれない。インフレ率が下がらなければ、「米国債金利はまだまだ上がる」としか言いようがない。


日本はどうだろう?経済成長率を押し上げるためには、労働人口の成長率、ならびに労働生産性を大きく伸ばすことが必要だが、これはどう考えても、金融政策でどうにかできることではない。日銀が異次元の金融緩和政策を維持しているが、労働人口は増えないし、労働生産性も上昇しない。結果として過剰流動性が資産価格を押し上げ、円を押し下げている。世界の需要が盛り上がっている間に需給ギャップを解消し、金融政策の正常化を果たすことが出来なければ、財政赤字は増え続け、円の価値は更に下がるだろう。金曜日の日本株は大きく戻す展開となったが、ショートカバーも一巡したものと思われ、週初は下値を試す展開となろう。


鈴木財務大臣は、「過度な変動がある場合は断固たる措置を取る考えにいささかも変わりはない」とコメントしていることから、再介入の可能性が高いが、介入でドル円が下値を試す展開では、ドル買いの動きが入ってくるものと思われ、その効果は限定的なものにとどまるのではないだろうか?






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