篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 10/16/2020
新型コロナの感染再拡大を抑制するため、米国や欧州では新たな制限措置が導入されており、コロナ禍からの米国経済、欧州経済回復が鈍化する可能性が高まってきた。大統領選の結果が出るまでは金融市場は、ボラタイルな中、レンジ内での取引が続くものと思われる。
分断が止まらないアメリカ。追加コロナ対策を巡る協議は進展していない。経済再開と共に急速に回復した米国経済。しかしながら、その勢いが落ちてきている中、追加対策がまとまらず、新型コロナ第2波の拡大は脅威としか言いようがない。今後の市場の注目は、今夏の失業給付期限切れが景気にどの程度の悪影響を与えるかということだろう。
日銀の若田部副総裁は16日、日銀は景気刺激や円高のインフレへの悪影響の軽減に向けて金融政策を一段と緩和する必要があると判断した場合、拡張可能なツールやプログラムを多数保有していると述べた。
同時に若田部副総裁は、「中央銀行に流動性供給はできても、実際の消費はできない。」と指摘したが、金融市場が混乱した時には、日銀は直ちに流動性供給を行うための拡張可能なツールやプログラムを多数保有しているが、個人消費が低迷した時には直接的に働きかける効果的な政策はないということだ。その通りだと思う。
北半球では冬が来る。世界的に第2波の影響で再びヒトとヒトの接触を避けざるを得ない場合、効果的な政策は財政政策しかない。日本ではGo toキャンペーンが実施できるほど第2波の拡大については抑えられていると言って良いだろう。日本人は、マスクをして外出、帰宅後は、靴を脱いで、手洗い・うがい、風呂に入り、部屋着で過ごす。こういう日本文化は、現状では、ワクチン・治療薬よりも効果的だが、何とか世界的な超金融緩和政策で市場が落ち着きを取り戻している間にワクチン、治療薬の開発に成功して欲しいと私は願っている。それ以外に本質的な解決策はない。
話題の日本学術会議のホームページを見ると、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などに関する特設HPを開設いたしました。」とある。どんなことが議論されているのだろうと思って「詳細はこちら」をクリックすると、Information on important infectious diseases including COVID-19 in Japanという英語のページになる。アカデミックな議論などについて特集してあるページではない。日本学術会議は、こういう大変なときだからこそ、日本国民、特に子どもたちにもわかりやすい感染防止ガイドラインとか学術の立場からの提言を行って欲しいものだ。
先週はグローバルに金利が低下する中、株式市場はレンジ内での推移となった。大統領選まで、あと2週間。今週はポジション調整に終始する展開となりそうだ。
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