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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 11/20/2020

新型コロナウイルス感染拡大への警戒感とワクチン開発への期待との綱引きで、相場は一進一退。世界各国では、感染者が過去最高を更新し、問題は一段と深刻になっている。日本の感染者数は欧米諸国と比較すればおさえられてはいるものの、東京都の新型コロナウイルスの感染者数は、11日(水)に300人を超え、1週間後の18日(水)には493人、19日(木)に534人に増加している。感染者数が過去最多を記録している中、東京都民がGo to トラベルを利用して、全国各地へ観光に行く。3連休初日の朝の羽田空港は大混雑しているそうだ。3月に上映を延期した映画「ドラえもん」も公開された。


どの国も経済に大きな打撃を及ぼす広範な活動制限は避けようとしている。結果として、感染の発生場所に絞った制限を導入するケースが多くなっており、感染拡大が止まらない。


4月は外に出るのが怖かった。特に緊急事態宣言は衝撃的だった。言われなくても外出・外食は控えた。アベノマスクが郵便受けに届き、特別定額給付金が入金された。


そしてGo toキャンペーンが実施された。11月になった今、感染者数が過去最多と報道されても、慣れてきたのか、「あの頃よりは怖くない」という日本人は私だけではないはずだ。世界中の人々も程度の差はあれ、同じような人が多いはずだ。


これは非常に厄介だ。


「感染拡大が止まらず、自粛したほうが良さそうなのはわかっているけれども、旅行の予約はしちゃったし、どうしよう?まあ、大丈夫だろう。旅行には予定通り行こう」というヒトが多いはずだ。


北半球では、本格的な冬はこれから到来する。ただでさえ風邪をひきやすい季節だ。今まで以上に気をつけないといけないはずだが、何となく警戒感が薄らいでいる。三連休で多くのヒトが移動しているということは、12月上旬には感染者数は今より増えているだろう。これからは、クリスマス、正月とワクワクするイベントが目白押しだ。


たった今、Go to トラベル事業を感染拡大地域で一時停止するという方針を政府が決めた。ヒトの流れを作るという意味では、非常に効果的な政策だっただけに、その反動が気になるところだが、感染拡大防止に舵を切らざるを得ないということだろう。


米製薬大手ファイザーと独バイオンテックが共同開発中のワクチン、米バイオテク企業モデルナによるワクチン開発に大いに期待したい。しかしながら、現実的には、日本では今年の冬はこれらのワクチンに頼ることなく自己防衛するしかない状況だ。


斯かる状況下、緊急事態宣言を世界各国が発出するような状況にさえならなければ、第二四半期のような経済の急速な落ち込みは避けられるだろう。そして、財政政策・金融政策により、金融市場の混乱は起こらないというのが、現在の市場のコンセンサスだろう。


ワクチン開発が成功し、早い段階で世界中に流通するようになれば、このシナリオが実現し、リスク資産は更に上値を追いかけることになる。


リスクシナリオは、更なる感染拡大とワクチン接種が始まったにも関わらず、世界中の感染拡大が収まらないケースだろう。




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