篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 12/01/2023
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はスペルマン大学(ジョージア州アトランタ)での講演で、インフレとの戦いが終わったと宣言するのは時期尚早で、必要な場合はさらに政策を引き締める用意があると市場をけん制。利上げが行き過ぎ必要以上に景気を減速させるリスクと、インフレ抑制のために十分な利上げを実施しないリスクはより均衡していると今までの発言と同様の内容を繰り返した。しかしながら、金融政策が予想通り景気を減速させていることは明らかであり、政策金利はかなり制約的な領域に入っているとも発言、FRBによる利上げは終了との見方が市場で広がっている。
この発言を受け、米国債金利は大きく低下、ドル円は146円台まで売られる展開となった。ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)の利上げサイクルも終了したとの見方が広がり小動きに推移。
アメリカのブラックフライデーを見る限り、個人消費は非常に力強い。FRBによる金融政策は驚くほど上手くいっている。パウエル議長が言う通り、引き続きアメリカの労働市場は健全であり、賃金がインフレ率以上に上昇している限り、消費支出が現在の水準を維持できない理由はないということなのだろう。
だとすれば市場が期待するようなタイミング(2024年1-3月)でFRBが利下げに転じると考えるのはちょっと気が早すぎると思うが、何はともあれ12月のアメリカの株式市場は上値を試すだろう。ドル円はさらに売られる展開となるだろう。
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