篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 12/25/2020
私にとって2020年は、Social Distancing, RemoteそしてZoomの年でした。今まで以上にGoogleに頼り、SNSを通じて情報を収集・発信、Amazonで買い物。ハンコ屋のせがれとしては、使い方の問題にもかかわらず、ハンコ自体が叩かれ不愉快に。街には自転車が溢れ、マスクは花粉を防止するものから新型コロナ対策の必需品となった。インフルエンザが流行しないということは、マスクが効果的だということを証明している気がしてならない。
バーチャルな世界で気になったものをリアルな世界で確認することが難しくなった年でもある。SNSはバーチャルな世界とリアルな世界を繋いでくれるものだと思ってきたが、その前提が崩れた年となった。子どもの頃に遠足で1回行ったことのあるマザー牧場にはそれ以来いつでも行けるチャンスはあったが実際に行ったことはない。しかしながら、緊急事態宣言が発出された後に、そのマザー牧場のSNSに興味を持ったのは不思議だ。落ち着いたら行こうと思っているが、本当に落ち着いたら行くのだろうか?
2020年はイギリス人にとっても記憶に残る年となる。年末にEUから完全離脱する。イギリスとEUが、2021年以降の関係を定める交渉で合意したのは良いニュースだ。識者の多くは、今回の合意によって、英国とEUとの貿易には関税ゼロの恩恵が原則として維持されることは短期的には良いニュースだが、引き続きイギリスから資金が流出するリスクが高く、経済的には厳しいと論じる向きが多い。私もそう考えてきた。
しかしながら、ブレグジットが決まったのは2016年6月の国民投票だ。今までの先行き不透明感が払しょくされ、完全離脱を実現することはイギリス人にとって決して悪い話ではないのでは?
何といっても、イギリス人としての誇りを取り戻すことが出来るでしょう。確かにグローバリゼーションにNoを叩きつけた悪影響は経済的にはあるでしょうが、コロナ禍という困難がイギリス人を団結させることになれば、2021年のイギリスは市場の予想を覆す可能性がある。
イギリスは私が住んでいた1992年には不景気にもかかわらず通貨を防衛するために金融引締を実施するという矛盾、いわゆるポンド危機を受けて、ERMを脱退。結局これが統一通貨ユーロに参加しないことに繋がった。それでもEU加盟国として、欧州との関係に翻弄されてきた。そのイギリスが、今後は日米欧の影響を勘案しつつも、自国の財政政策、自国の金融政策を行うことが今まで以上にやりやすくなる。サッチャー元首相は喜んでいるだろう。2021年はイギリスに注目したい。
それにしても、英国などで感染力の強い新型コロナウイルスの変異種が流行し、日本でも空港検疫や都内で検出されたことに対応するため、政府は26日、全世界からの外国人の新規入国を停止すると発表したが心配だ。ワクチン接種が始まり、国境が少しずつ開かれるという期待が高まっていただけに残念な報道だ。
しかしながら、市場は新型コロナウイルス関連の悪いニュース自体への感応度は低くなってきた。世界中の人が慣れてきた。こんなニュースが4月に飛び込んできたら、きっと殆どの人が週末は家に閉じこもったでしょう。今は、確かに気にはなるものの、結局は3密を避け、マスクをし、手洗い、うがいを心掛けるしかないだろうと、特別な感染対策を行う人は少ない。
過去の実績から菅首相に期待する声が大きいのは当然で、私も頑張って欲しいと応援している一人だが、「私の方針が気に入らない人は異動させる」という発言だけは本当に残念だった。どんなに尊敬できる素晴らしい人でも、このコメントはあまりにも傲慢だ。傲慢さが見えてくると人はついていかない。
65歳以上は感染リスクが高いから特に気を付けてというメッセージを出しているのは誰でしょうか?
確かに首相と国民は違う。だから全く問題ないという人もいるだsろうが、情報収集のためには、65歳以上の人を集めて会合を開いても、感染防止を行えば大丈夫と堂々と外食しているのが我が国のリーダーに「頑張ってください」と声はかけられない。自分自身が「私の方針が気に入らない人は異動させる」と公言しているので、外食を自粛したほうが良いとアドバイスしてくれる右腕が一人もいない。そんなに情報を収集したいのなら、PCR検査で陰性を確認した人だけを首相官邸に招いての会合、Zoomミーティングを行えば良い。正直言ってやっているは、著名人を集めた忘年会だ。国民に批判を浴びるからと忘年会をキャンセルしている政治家も多いようだが、感染を拡大しないように忘年会をキャンセルしているのではないような気がする。感染症拡大という答えのない問題に医療従事者、民間は戦っている。政治家自身にはもっと危機感を持って取り組んでもらいたい。国民一人一人が意識を高めることが大切なことは国民はわかっているはずだ。国民に自粛しろと言っておきながら、あんなに高い鉄板焼きを当たり前のように食べているのを不愉快に思う人がいても仕方がない。
年初の世界経済については大きく崩れることは考えにくいでしょう。アメリカでは、ワクチン接種も始まっていることに加え、バイデン新政権が始まることへの期待感が維持されるでしょう。しかしながら、仮にこの変異種の話が、1月に発表される12月の経済指標を大幅に下押しするようなことになれば話は別になってくる。
バイデン新政権の最大の注目ポイントは、富裕層向けの増税がどのような形で実施されるか、そして金融規制の動向でしょう。このような株式市場にネガティブにとられそうな報道に対し、市場がどのように反応するかに注目したい。トランプ政権には様々な問題があったことは私が説明する必要はないでしょう。しかしながら、米国の株式が史上最高値をつけた時の大統領もトランプ政権だったというのも事実である。
2021年が平和で明るい一年となりますように!
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