篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 12/31/2020
あけましておめでとうございます。2020年を振り返ってみましょう。
1. 米ドル金利の低下
何と言ってもアメリカの金利が実質金利を中心に大幅に低下したことが大きい。2年債は145bp低下し、0.123%、10年債は97bp低下し、0.916%。イールドカーブは大幅にスティープニング。欧州金利も低下したものの、独10年債は38bp低下、仏10年債は45bp、伊10年債は92bpと米10年債をアンダーパフォーム、イールドカーブはフラットニング。欧州の経済の先行きが不安だ。円金利は短期・中期セクターが略横這う中、長期金利を中心に金利が上昇。
2. 米ドル安
対円で5%、対ユーロで8%下落。
3. 米株高
コロナ禍の中、ナスダックがアウトパフォーム。特にブレグジットで揺れたイギリスを中心に欧州株が冴えない。日本株は米株の動向を睨みながらの展開となり、堅調に推移した。
4. 原油安・金価格の上昇
世界的な景気減速による需要減を受け、原油が売られるとともに、先行きの不安を反映し金価格が上昇した。
2020年は、アメリカの中央銀行であるFRBが世界を救ったと言っても過言ではない。新型コロナ感染拡大を受けて、FRBが躊躇せずに積極的に流動性を供給して、金融市場の混乱を抑えた。そして、市場が落ち着きを取り戻すと過剰流動性が株式市場を支えた。バイデン民主党政権が始まる今年は、更なる財政赤字の拡大懸念、富裕層に対する増税懸念など、不安材料も多い。しかしながら、何かがあればFRBが直ちに追加の政策を実施してくれるという安心感から、これから2-3年アメリカの金利が大きく上昇することはないというメインシナリオを設定できそうだ。
東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県は、新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言の発令を政府へ要請するらしい。2021年も引き続き新型コロナウイルスに右往左往させられそうだ。足許では既に世界中に広がっているものと思われる感染力の強い新型コロナウイルスの変異種の流行が気になる。
今年は2日、3日が土日なので、4日に始まる東京市場に注目が集まっている。アメリカ株が堅調だということ以外に日本独自にこれと言って良いニュースがないことが気がかりだ。
何はともあれ、2021年が人と人が繋がれる年になることを期待したい。
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