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執筆者の写真篠原竜一

篠原金融塾 グローバルマーケットウィークリー 10/1/2021

アメリカでは、インフレ懸念が払しょくされず、量的緩和の縮小の可能性が高まっており、米金利が上昇している。これを受け、グローバルに株式市場の頭が重い。


FRBは9月のFOMCで、11月にも量的緩和の段階的縮小に着手する考えを示唆するとともに、当局者の金利見通しでは、利上げ開始時期が前倒しされた。FOMCの結果は、市場の予想の範囲内であり、直後は米国債市場は大きく売られることもなく、落ち着いていたが、FOMC翌日からは米10年債は、1.5%を超える水準まで売られる展開となった。週末には買い戻され、1.465%での越週となっているが、金利先高観が払しょくされたわけではない。


日本では自民党総裁選が盛り上がりを見せたが、予想以上の大差で岸田文雄氏が勝利した。今後の舵取りを大いに期待したい。しかしながら、この結果については、何と言って良いのかわからないが、何となくがっかりという向きも少なくないのでは?党員票と議員票の差はどうやって説明すれば良いのか?文句ばかりメディアに取り上げられる野党第一党の最大の目玉政策が所得税の1年間の免除と政権与党に対する文句だ。保守であるはずの自民党が、大規模な財政政策を実施、リベラルであるはずの野党が減税を主張、何だか良くわからない。


評価は分かれると思われるものの、小泉元首相が自民党総裁になった時には、「何かが変わる、動き出しそうだ」という高揚感があった。安倍元首相がアベノミクスを発表した時には期待が大いに高まった。実際に実施された政策そのものについての評価は様々だが、我が国のリーダーが力強く発するメッセージに国民が耳を傾けたのは事実だ。それがない。


ヨーロッパも心配だ。誰がドイツの次の政権を率いるのかが私にはわからない。社会民主党(SPD)のショルツ氏は、クリスマスまでに新政権を樹立できることを楽観していると語っているが、こんな大変な時期に今年いっぱいドイツの、ヨーロッパのリーダーが決まらない。メルケル氏の穴を埋める政治的なリーダーがいないのはとても不安だ。


政治的な不安材料が多い中、今週の金曜日には、9月雇用統計が発表される。9月の非農業部門雇用者数の市場予想は50万人程度。市場予想を大幅に下回らない限り、いよいよ米金利の本格的な上昇が始まるような気がしてならない。



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