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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

Hokkaido International School(HIS)

2019年7月に訪問。

札幌市豊平区平岸にある北海道インターナショナルスクール(HIS)のHead of schoolのMr. Barry Ratzliffを訪ねた。


1958年に北海道アメリカンスクールとして設立。その後1962年に豊平区福住にキャンパスを移すと共に北海道インターナショナルスクールに名称変更。1982年には、Western Association of Schools and Colleges(WASC)認定校になった。その後1988年にHigh Schoolを設立、1992年には高校もWASCに認定されている。その後北海道、札幌市の協力の下、平岸に新しい校舎、学生寮を建設、今の場所での活動が始まった。2018-19年には学校創立60周年を迎えた。


HISはWASC認定校であると共に、Japan Council of International Schools (JCIS) 、そしてEast Asia Regional Council of Overseas Schools (EARCOS)の加盟校である。 加えて、HIS は、 International Primary Curriculum (IPC) とInternational Middle Years Curriculum (IMYC) の加盟校だ。


3歳から5歳までのEarly years、Kから5年生までのElementary school、6年生から8年生までの Middle school、そして9年生から12年生までのHigh schoolに分かれている。クラス分けはユニークだ。2学年で1クラスになっておりMultiage Learningと呼ばれている。毎年担任の先生が変わるのではなく、同じ先生が2年間生徒と接するメリットは大きいとMr. Barry Ratzliffは言う。生徒の得手不得手を把握し、例えば算数が得意だが、英語の読み書きが苦手という生徒に対する指導はこのMultiage Learningは適しているという。年齢が全てではなく、生徒一人一人に合わせた教育を提供してくれるということだ。


Early yearsでは、Reggio Emilia教育法が採用されている。生徒1人1人の意思を尊重し、個々に持つ感性を生かすことが最も重要であるという教育理念だ。


Elementary schoolでは、International Primary Curriculum (IPC)を取り入れている。Mr. Barry Ratzliff によると、IPCは世界標準のカリキュラムとして評価も高く、その最大の特徴はテーマ学習だという。ひとつのテーマを、理科、社会科、美術、といった複数の観点から深く掘り下げて学習し、生徒自身が考え、様々な課題を解決する力を養うことが出来る。


Middle schoolでは、International Middle Years Curriculum (IMYC)を取り入れている。IMYCは、中等部で学ぶ生徒向けに作られたカリキュラムで、IPCと同様にひとつのテーマについて、言語学習、理科、社会科、美術、といった複数の観点から深く掘り下げて学習する。


読み書きについては、ElementaryとMiddle schoolでColumbia University Teachers CollegeのMs. Lucy Calkinsが始めたTeachers College Reading and Writing Workshopという手法を取り入れている。この手法は生徒が書いた文章を数週間かけて、先生と生徒が一対一で対話を繰り返しながら編集し、生徒が自分らしい文章、かつ質の高い文章を作り上げることが出来るように導いていく指導法である。また、生徒の読解力を伸ばすために、生徒が自分のレベルにあった本を読む中で、こちらも先生と生徒が一対一で対話を繰り返しながら、生徒の読解力を高めていく。


IPC並びにIMYCカリキュラムでテーマ学習を行うと同時に、全ての生徒が一対一の指導を通じて、書く力、読む力を高めていく。HISでは、この書く力、読む力をつけることは、他の科目と同様に先生による指導と生徒による読書、文章を書く練習が効果的であると考えているのであろう。


算数・数学は、Elementary, Middle school共にSingapore Mathを導入している。与えられたワークシートをこなせば良いものではない。計算結果のみならず、その計算過程を考え、出てきた計算結果がどういう意味かを考えるプログラムだ。


High schoolでは、Outdoor Leadership カリキュラムに特徴がある。15年前までは課外活動のひとつだったが、現在ではカリキュラムに組み込まれていて、Outdoor Education class とOutdoor Leadership classが選択できる。また、Advanced Placement Program(AP、高校における大学単位プログラム)というレベルの高い授業を受けることも可能だ。


学校全体としてはVirtues Projectと呼ばれている人格形成プログラムに取組んでいる。52のコアな価値観の中で特にHISが大切にしているものが、H.U.S.K.I.E.Sだ。これは学校のマスコットであり、その意味は、以下の通りだ。


Honest learners and leaders

Understanding collaborators

Solution creators

Knowledgeable thinkers

Internationally minded citizens

Effective communicators

Socially & personally responsible


音楽のプログラムについては95%の生徒が参加している。初心者が参加できるバンドと上級者が参加するバンドがある他、コーラスに参加する生徒もいる。毎年札幌コンサートホールKitaraで演奏するほどの腕前だ。


HISの大きな特色として挙げられるのが学生寮である。北海道以外の生徒も大歓迎とのことだ。学生寮の定員は40名。実際に案内してもらったが、食堂、リビングスペース、シャワー、トイレ、洗濯機、乾燥機は共用。基本2人部屋。部屋の中には、机2つ、二段ベッド、クローゼット。寮の部屋としては清潔で十分なスペースだ。一階にはスキー道具置き場もあり、一回500円で、週に二回ナイトスキーに連れて行ってもらえるそうだ。ドームペアレントとして先生も寮の中に住んでいるので安心だ。


もう一つ大事なことがある。HISには女子学生向けに奨学金制度があることだ。9年生から4年間在籍することを条件に学費の50%を免除してくれる。その他の諸費用は寮費も含めて全額支払う必要があるが、学費が半額になるのは有難い。2019年7月現在この女子学生向け奨学金については3名を募集中とのことだ。


Head of SchoolのMr. Barry Ratzliffは、とても優しい人だった。空港から学校までの案内をしてくれたり、前日にはわざわざメールをくれたり、きめ細やかな人だ。実際に訪問すると、自ら2時間半もかけて、学校の説明、校内の案内をしてくれた。「日本にある素晴らしいインターナショナルスクールを紹介し、世界を舞台に活躍するグローバルリーダーを育成する」という我々の考えに共感してくれ、今後も定期的に会ってくれると言ってくれた。


Mr. Barry Ratzliff はHISのHead of Schoolであると共に、WASCのVisiting Committeeのメンバーでもあり、その知識の豊富さには驚いた。こんな教育者が日本にいて、学校を運営していることは本当に素晴らしい。


http://home.his.ac.jp/

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