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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

篠原金融塾 グローバルマーケット(週次)

サウジアラビアとロシアが数日内に原油減産で合意するとの思惑から原油価格が大きく戻している。株式市場は引き続き頭の重い展開が続いているが、値動きは一時よりは落ち着いてきた。国債市場は、米国・日本は金利低下傾向変わらずだが、フランス国債、イタリア国債がドイツ国債にアンダーパフォームする形で、欧州市場では金利が上昇している。不気味だ。

今週発表されたアメリカの新規失業保険申請者数が恐ろしいほど急激に増加しており、マーケットはある程度の心構えは出来ていたはずだが、3月の雇用統計は、予想以上に悪かった。非農業部門雇用者数が前月から70万1000人減と、市場予想の10万人減を大幅に超える落ち込みだ。こんな数字見たことがないというトレーダーも多いだろう。失業率は、なんと0.9%も上昇し、2月の3.5%から4.4%に急上昇している。残念ながら、失業率は、今後もどんどん上昇するだろう。

また、米供給管理協会(ISM)が発表した3月の非製造業総合景況指数は、52.5。市場予想の43.0はかなり上回り、悪くないじゃないかと思ったものの、これは入荷遅延指数が1997年以来の大幅上昇となったことが影響しており、中身はボロボロだ。当然だが、業況と雇用の指数が50を下回った。

経済指標からも新型コロナの感染拡大でサプライチェーンが混乱し、モノの流れに影響がでていることに加えて、ヒトの流れを止め、感染防止に努めていることによる経済的な悪影響は想像以上だということがわかってきた。

それでも市場は少し落ち着いてきた。市場が悪い状況を織り込めばプライスアクションは想定内で収まるようになってくる。

日本の機関投資家には顧客から預かった預金、保険料、運用資金が潤沢にある。これをどのように運用するかは世界中の市場関係者が知りたい情報だ。日本の機関投資家が2020年度の運用方針を決定するのが4月後半。ゴールデンウィーク明けからは新年度の運用方針にも基づいたオペレーションが始まる。一体どのような運用方針を策定するのだろう?

「ファンダメンタルズ」「金融政策」「市場の需給」から運用方針を策定することが多いが、景気は悪い方向へ動くだろうし、中央銀行による積極的な金融緩和政策を受け、グローバルに超低金利状況が継続する中、超運用難の状況だ。財政赤字は拡大方向だが、市場は過剰流動性でジャブジャブ。

斯かる状況下、日本の投資家はクレジット商品への投資を積極的に行ってきたが、今年度は、株・クレジット⇒国債へ資金を戻す動きが強まるだろう。問題は金利がないということ。

投資家の質問は、現在はとても異常な状況にあるので、こういう動きになっているが、新型コロナウイルス感染が世界的に落ち着いてくると、大きく、国債⇒株・クレジットへの資金の逆流が起きるのではないか、ということだろう。

大きな動きが出てくるのは確かだろう。私の答えは、不確定要因が多く、市場のボラティリティが高まっている時はリスクを縮小すべきだというものだ。こういう時こそ、日経平均が14,000円まで売られる確率と21,000円まで買われる確率は50/50だということを肝に銘じることが大切だ。両サイドに動けるようにするためには、リスクを縮小しておくことだろう。


またクレジットマーケットに問題を抱える状況では、特に外貨の資金繰り、米ドルの資金繰りが重要だろう。潤沢な外貨流動性を確保すると同時に国債中心の慎重なオペレーションを行わざるを得ない状況だろう。

感染防止に効果的なのは、ヒトとヒトとの接触を可能な限りなくすことだ。これがうまくいくということは当然ながら景気は悪くなる。だからやめてといっているのではない。中途半端にやるのが良くないと思う。やるなら徹底的にやって、短期間で効果をだすことが重要だ。学校・企業を2-3週間クローズして、原則外出禁止。出入国禁止。やるなら日本中でここまでやるべきだ。感染者・非感染者を区分し、感染者は、無症状・軽度・中等度・重度などに応じて対応していく。経済的な悪影響は大きいが、徹底してやることで、結果的に短期間で効果を出すことになるのでは?


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