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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

暇なときに 菅義偉氏 「異動してもらう」

安倍政権の下での菅義偉氏の最大の功績は、官僚が与党、並びに関連業界との調整が難しく、官邸に対して猛反対するような政策を実現する為に、人事権を行使しながら突破してきたことであるのではないでしょうか。凄い行動力、実行力だと思う。

その菅氏に関して、ちょっと気になる報道だ。私は実際には観ていなかったのだが、菅氏が、テレビ番組で、中央省庁の幹部人事を決める内閣人事局に見直すべき点はないと発言したそうだ。この発言には全く問題はない。

しかしながら、政権の決めた政策の方向性に反対する幹部は「異動してもらう」と述べたそうだ。本当だとしたら、私が官僚だったら、何はともあれ、余程のことがない限り、官邸に対し耳障りなことなど言わないようにするだろう。半沢直樹だったら、第一話で異動だ。二度と銀行にも証券子会社にも戻れない。

これに対し、石破茂氏は「官邸が言っているから誰も止められない。そういうことは決して良いと思わない」、岸田文雄氏は「権力は鋭利な刃物のようなものだ。使い方を間違えてはならない」と語ったそうだが、言うのは簡単だ。これはこれで、じゃあ官僚主導に戻すのですかって逆に質問したくなる。

そもそも日本では、優秀な官僚たちが経済や産業を主導、高度成長を実現したと、「官僚主導」の政策は肯定的に捉えられてきた。

しかし、平成の時代になり、日本経済が長期にわたり低迷すると、その評価は一転、いつからか新しいことを嫌い、昔からの慣習を何よりも大事にする風潮を大企業病、官僚的だと言うようになった。そして、選挙で選ばれた政治家が国民の声を聞いて政策を実行するのではなく、官僚による族議員と業界のための政策を調整する「官僚主導」は批判されるようになり、「政治主導」に向けた政治・行政改革が必要だという声がどんどん強くなっていった。

そういった声をうけて、内閣人事局が2014年5月に内閣官房に新設された。これにより幹部人事を掌握、官邸主導の意思決定が出来るようになり、「官僚主導」から「政治主導」へと大きく流れが変わった。

国民の総意として進んできたはずの改革であるが、最近では、官僚による「忖度」を生む要因となっていると批判的な声が強い。菅氏の発言は、きちんとした議論を経て決めたことを各省庁の都合、業界の都合を優先するような官僚には「異動してもらう」という意味だとは思うものの、「俺の話を聞け!嫌なら辞めろ!辞めないなら異動させる」と次期総理大臣に言われて、半沢直樹のように立ち向かえる人は少ないだろう。

今でも超難関な試験を突破し官僚になった志の高い超エリート達にはより良い日本にしていくためのアイデアが沢山あるに違いない。そんな超エリート達が、官邸を忖度するなんて何とももったいないことだ。

繰り返しになるが、菅氏の政治家としてやるといったらやるという行動力、実行力は誰もが認めるところだろう。現場では、国民の声を聞いて必要な政策を実現するためには、「異動してもらう」位のことを言わないと官僚を動かすのは難しいのだろう。

しかしながら、万が一にも「異動してもらう」を左遷させるという脅かしで使っているのだとすれば、さすがにリーダーとしていかがなものかと言わざるを得ない。幸いなことに私は官僚ではないので,異動させられることはないが。。。

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