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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

Ritsumeikan Asia Pacific University (APU)

更新日:2019年7月30日

2019年7月に訪問。


大分県別府市にある立命館アジア太平洋大学(APU)の事務局部長、学長室長の村上健氏、キャリア・オフィス課長の岩森崇氏、同じくキャリア・オフィスの佐藤加代子氏を訪ねた。


APUは、以前よりいつか訪問したいと思っていた大学だ。2000年に誕生したAPU。「学生の50%を留学生に、出身国を50か国・地域以上に、教員の50%を外国人に」ということを掲げて開学した。当時、「これからはアジア太平洋の時代が来る」と大分に立命館が新しい大学を作ったと話題になった。

そして、2016年に出版された「混ぜる教育」という本が外資系金融機関で話題になり、「APUの学生に会ってみたいね」という会話を同僚としたのをはっきりと覚えている。 2018年に出口学長が就任、メディアで取り上げられることが増えた。

海外で学ぶ日本人学生は、日本を離れることで、日本について初めて興味を持ち、人の話をよく聞き、それに同調するのではなく、傾聴し、自分の心の中で感じたことを素直に言葉に出来る学生が多い。自己肯定感は高い。APUは、「混ぜる教育」にこだわっている。別府に多種多様な価値観を受け入れる大学を作り、共に生活をすることにより、海外で学ぶ日本人学生同様、自己肯定感が増す。


池上彰氏が司会を行った日経のセミナーで、出口学長が話していた内容がとても印象的だった。質疑応答で企業の人事担当が「企業に求めることはなんですか?」という質問をした。


これに対する出口学長の答えは、「偏差値が高くて、真面目で、我慢強く、協調性があって、上司の言うことをよく聞く人は企業にとって必要な人材でしょう。でもうちの学生は成績で採用してほしい。0から1を生み出すには個性のある人材が必要だ。APUはそういう学生を育てている。だから大学で一生懸命勉強した学生を採用してほしい。」


村上氏によれば、APUが目指す教育に共感してくれる企業、高校が増えているそうだ。APUは積極的に協働し、学生、保護者の教育の選択肢としてAPUのみならずグローバル教育を行う大学に通う学生が増えることに繋がればという活動を積極的に行っているとのことだ。素晴らしい。


留学生比率50%というのは、世界でも他に類を見ない多文化環境の中で学ぶ真のグローバル大学という村上氏の説明は、まさにその通りだと思った。別府市にある日本の大学であるのは確かであるが、留学生が50%いる世界で一番多様化しているAPUは、少子高齢化が進む日本にとって、これからのひとつのモデルになるような大学だ。また、男女比50/50というのも日本では珍しい大学だ。


岩森氏はAPU卒業生の進路状況を丁寧に説明してくれた。多くの企業がオンキャンパスリクルーティングに参加(約200社)しており、日本の企業はとても積極的にAPU卒業生を採用しているとの印象を受けた。


凄く暑い日だったが、岩森氏、佐藤氏は嫌な顔をせず、学内を案内してくれた。まずは図書館。夜12時まで利用可能だ。昔ながらの静かに勉強するスペースも勿論あるが、グループ学習、プレゼンテーションの練習が出来るスペースを広くとっているのが特徴だ。いくつものグループが真剣に議論をしていた。どのグループも国籍は様々だ。APU開学時には多くの企業が寄付をしている。図書館にはそれらの企業に関する書籍も揃っており、企業研究には困らない。


教室のある建物は天井がガラス張りでとても開放的。テーブルを出して、コリアンバーベキューの弁当を卒業生が販売していた。


次に学生寮を見学。学生数は開学時の3,000人から現在は6,000人弱に増えている。男女は50/50。学生寮は最初1棟だったが、学生数の増加に併せて現在は2棟ある。建物に入ると卓球台にビリヤード。学生寮の定番だ。畳のスペースもある。廊下を進むと共用のキッチン。自炊が可能だ。想像以上に綺麗だ。


次に個室。まずは一人部屋。机、ベッド、クローゼット。ここまでは驚かなったが、トイレ、洗面台に加え、冷蔵庫があり、贅沢なつくりだ。二人部屋は、トイレと洗面台がなかったが、二つの一人部屋の壁をぶち抜いた感じだ。間にスライドドアがあり、プライベートも維持できる。こんな二人部屋見たことがない。学生寮の個室としてはとても恵まれている。

友人同士で一軒家を借りて数人で住んでいるケースもあるそうだ。学内から別府駅中心迄のバスが運行されており、普段の生活に困ることはない。


今回は学校から車で10分程度の明礬温泉に滞在したが、そこの宿の人に聞くと、APUの学生をアルバイトで雇っているという。外人観光客の滞在も増えており、とても助かっているとのことだった。APUが出来て20年で別府は大きく変わったという。どうやら街の人達とも良好な関係を構築しているらしい。


佐藤氏は幼少時をアメリカで過ごし、米国の名門大学で学んだ人だ。そして卒業後は金融を目指す人にとっては憧れの米系投資銀行で働いていた超エリートだ。そんな人がキャリア・オフィスにいるのは学生にとっては頼もしい。


佐藤氏にAPUでの仕事について聞くと、APUでの仕事・生活はとても快適だという。笑顔だ。こういうグローバル教育を受け、グローバル企業でキャリアを積んできた人が快適だという大学、一度は訪問すべき大学だ。




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