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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

篠原金融塾 日本の投資家にとって今年はどんな年だったのでしょうか? 

財務省は、1、居住者による対外証券投資、2、非居住者による対内証券投資の状況を週次で公表している。12/5に最新データが公表されたが、2019年11月末までのデータが公表されている。


まずは居住者(日本人)による対外証券投資の状況を見てみる。


日本人は2019年に外国株式・投資ファンドをネットで2兆2千億円買越。2018年は、7兆7千億円の買越だったので、今年は昨年と比べると慎重だったということでしょうか。10月末までのデータでは、生保、投資信託委託会社等は大きく買越だが、銀行が大きく売越だったのが影響している。


外国債券中長期債については、ネットで19兆8千億円買越。8兆4千億円の買越だった2018年と比較すると買越額は大幅に増加。10月末までのデータでは、銀行が7兆9千億円、生保が3兆4千億円、信託勘定、投資信託委託会社等が4兆6千億円と全ての投資家が買越。


銀行は海外の景気が下降気味で、外国株式投資には慎重、外国債券の積増しを行っているが、銀行以外の他の業態を見ると、ドル円も安定しており、運用難なのか外株も外債も買増している。


今年はFRBが金融引締から金融緩和にその政策を転換。キャリー収益を見込んだ外債投資、特に社債・モーゲージ債などのスプレッドプロダクトに資金が流入したものと思料。株高・債券高が同時に起こった珍しい年だった。金融緩和は明らかにやりすぎであり、実体経済の押上げ効果は限定的だったものの、金融商品押上げ効果は抜群で、幅広くサポートした年だった。


次に非居住者(外国人)による対内証券投資の状況を見てみる。


外国人は2019年に国内株式・投資ファンドをネットで9百億円売越。6兆8千億円の売越だった2018年と比較すると売越額は減少。


日本国債中長期債については、ネットで11兆円買越。2兆6千億円の買越だった2018年と比べると買越額は大幅に増加。


外国人は日本の金利が大きく上がることはなく、日本株が大きく上がることもないと考えた年だったでしょうか?


来年は米大統領選の年。そして日本では東京オリンピック。どんな年になるのでしょうか?

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