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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

篠原金融塾 ちょっと真面目に日本の財政 少子高齢化

現在の日本の借金残高は税収の15年分であり、将来世代の大きな負担になると言われている。財務省は「2019年度の国の一般会計歳入101.5兆円は、税収等では歳出全体の約2/3しか賄えておらず、残りの約1/3は 借金(公債金)に依存しています。この借金の返済には将来世代の税収等が充てられることになるため、将来世代へ負担を先送りしています。」と説明している。とても心配になる記述だ。


エコノミストに話を聞くと、日本の経常収支は黒字であり、国債の発行も支障なく行われており、日本の財政が直ちに問題になることはないと言う。国家が破綻するのは財政赤字ではなく、経常赤字だという主旨だろう。確かにそれはそうかもしれない。


そうは言っても、毎年、借金が増えているにも関わらず、大きな問題はないと言われても何かしっくりこない。


MMT(現代貨幣理論)提唱者たちの「日本は借入が自国通貨建てであることから、日本銀行が紙幣を刷れば借金を賄うことが出来るので、日本の財政は破綻しない」というのもその通りなのかもしれない。


しかしながら、リーマンショック後に世界中の中央銀行が伝統的な金融緩和に加え、量的緩和まで行っているというのに景気回復に過熱感がないのは何故だろう?どんどん借金を増やして金融資産だけが押し上げられ、いつの日かバブルが弾ける。これで本当に良いのでしょうか?


私は、どうしてもMMTの考え方には賛同できない。現在の日本政府の資産負債差額(負債超)は、500兆円を超えている。日本の財政に大きな問題があるのは事実で、放置してはいけないと思う。


日本はこれから小さい政府にしていくべきだと考えている。思い切って歳出を削減する一方、所得税・法人税減税で景気を刺激するしかないのでは?


これからも殆どの先進国では人口が増えていく。その中で日本は少子高齢化が進む中、総人口が凄い勢いで減少していく。今でも税収では財政を賄えきれないのに、総人口減少により、ますます国内需要が減少していく。


国立社会保障・人口問題研究所によれば、2065年には日本の総人口は8千万人まで減少する。危機的状況だ。この危機的状況に対応するためには、需要を作り出す必要がある。財政政策が必要だが、肝心なときに財源がない。国には徴税権があるので必要なら増税すればよいというが、本当にそんなことが出来るのか?


上述のように、総人口の減少に伴い、国内の需要が減少していくことは既にわかっている。日本が出来ることは、輸出(含むインバウンド需要)を増やすことだ。


政府は、インバウンド需要を取込むためにビザ手続きの簡素化などを進めている。効果は着実に出ている。


企業は、日本に観光で訪問する外国人に対するサービスを強化するとともに、日本に働きにくる外国人に対する体制整備を行う必要がある。


大学は、日本への留学生を増やす工夫が必要だ。将来は家族一緒に日本で暮らしたいという外国人も出てくるかもしれない。そのためには、外国人向けのインターナショナルスクールを全国に展開する必要もある。


これからの日本にとって最重要顧客は外国人だ。その最重要顧客に対応する「教養のあるバイリンガル・トライリンガル人材をいかに育てるのか」が日本の最大の課題だと思う。今こそ政府・企業・大学が協力し、対応すべき課題だ。

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