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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

暇なときに 5/11/2020 月曜日

沖縄では梅雨入り。都心は28.1度を記録し、7月上旬並みの暑さ。マスクによる思わぬ体温の上昇による熱中症に気をつける必要があるという。気をつけないといけないことだらけで嫌になってくる。

以下は全く科学的根拠のない話。

感染者数は減っている。自粛要請が徐々に緩和され、モノとヒトの動きが戻ってくる。お店はこれから少しずつ通常営業に戻っていくだろう。学校も再開するところが増え、企業でも通常勤務に戻すところも出てくるだろう。採用活動も再開する。何かが大きく変わったわけでもないのに、本当に大丈夫だろうかと思う人も多く、一番戻らないのはヒトの流れだ。

日本では、外出するときにマスクをする人が多い。特に花粉の季節、咳が出る時などのマナーとしてマスクをする人は多い。家に帰ってきたら、靴を脱いで、手を洗って、うがいをする。シャワーを浴びて、服を着替える。毎日髪を洗う人が多い。それからソファーに座ったり、ベッドでリラックスしたりする。散歩から帰ってきたら、足を洗ってもらう犬も多い。レストランに行くとおしぼりが出てくる。おしぼりが出てこない場合は手を洗いに洗面所に行く人も多い。

これって新型コロナの感染拡大を防止する為に日本人が始めた対策ではない。日本人が昔から当たり前のように行っていることだ。そもそも日本人は綺麗好きだ。その日本人が絶対にヒトからうつされたくない、ヒトにうつしたくないという対策をとるようになった。最強だ。

個人的には緊急事態が解除されても、ワクチン若しくは治療薬が出来ないと心配で、元のように行動するようになるには時間がかかりそうだ。自分は感染したくないのは当然だが、家族、友人、同僚に迷惑をかけたくはない。体調のすぐれない時は家で休む。外出するときは必ずマスクをするだろう。落ち着いたら会いたいねと言いながらも、いきなり飲み会に参加したりはしない。混雑しているところは極力避ける。手洗い、うがいだけではなく、外から帰ってきたときには必ずシャワーを浴びる。家の中には至る所にアルコール消毒液をおいておく。そして、空気洗浄機に加え、次亜塩素酸を使った空間除菌脱臭機を設置する。

こういうことを考えている人は私だけではないのではないかと感じている。従って、ヒトの流れが戻るには時間がかかるため、このまま緊急事態宣言が解除されても日本は大丈夫なのではないかと思うようになってきた。

逆に心配なのは、大丈夫だって言われているのに大丈夫じゃないという気持ちを変えられないかもしれないという点だ。

子どもの頃はお金を持っていなかったので、自分の足で歩いて行けるところ、自転車で行けるところが、自分の世界だった。中野区東中野に住んでいた私の行動範囲は、東は新宿、西は阿佐ヶ谷。北は中井、南は初台、精々そんな範囲だった。高校生、大学生の頃には電車、バスを使うようになり、行動範囲は大幅に広がった。社会人になって給料を貰うようになり、飛行機に乗って海外に行くことも増え、気がついたら、ロンドン、ニューヨークに住むことになった。日本の高度成長、その後のグローバル化の流れに自然に乗っかり、行動範囲は広がった。

今その移動、行動範囲の考え方が大きく変わろうとしている。それも国と国との移動というようなレベルの話ではない。県と県との移動も自粛を要請されている。先日もSNSを通じて今は営業を自粛しているとある牧場がドライブスルーでのみ、入場を認めたが、県外の人は入場できない。仕方ないことだと世の中の人は理解しており、「県外の人が行けるようになったら、必ず行きます!」といった書き込みが多い。素晴らしい取り組みを行っていると思うし、県外の人を受け入れたら、大混雑するかもしれないので、よく考えられていると思う。神奈川の海に訪れる車で大渋滞、自粛要請されているにもかかわらず潮干狩りというニュースも流れた。

それぞれの施設を運営する人達が言いたいことは、「皆さん、自粛が解除されたら、その時には是非遊びに来てくださいね」ということで、言われた我々もその意味をちゃんと理解していると思う。同時に、「混雑しているところは避けよう」というのは理解していたが、「日帰りドライブも駄目なんだ」という情報が人の心の中にインプットされたことは大きい。

「日帰りドライブだったら、誰にも迷惑かけない」と私も思っていた。外出自粛要請が緩和されるにつれて、「今日はドライブでも行こうか?」っていうお父さんは少なくないかもしれない。でもその時、家族の誰かが「それまずくない。未だやめておこう」といったら、それは実現しない。また、「緩みに気をつけて」「観光地で、クラスターか?これは自粛緩和が原因なのでは?」なんていうことが報道されると、日帰りドライブ族は戻ってこなくなる。

自分の行動範囲を広げることで人は新しい発見だったり、刺激を受けたりするが、「今は我慢しよう」というバイアスがどうしても働く。特に、日本人は人の目を気にする国民だ。各国対比でも日本の経済再開には時間がかかりそうだ。

誰も間違ったことはしていない。人の心の問題なのでやっかいだ。

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