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執筆者の写真篠原竜一 代表取締役社長

暇なときに 日本は大丈夫だろうか? 

NHKのクローズアップ現代で”非正規公務員問題“を取り上げていた。


税収が減り人件費削減が避けられない中、非正規公務員は、公務員全体の3分の1を占めるまでになっているという。そもそも臨時職員非常勤職員と呼ばれる非正規公務員には、どんな仕事があるのか?


自治体の窓口業務、学校の先生、保育士、看護師、図書館司書、給食調理員などだという。


茨城県にある中学校。教員20人のうち、3人が非正規公務員。保健体育の教員は、常勤の講師として、フルタイムで働いている。正規採用の教員と同じように、部活動の顧問を任されている。また、正規同様、クラス担任を務めている。仕事内容は正規と全く同じなのに、就職して5年、賃金アップは一切なし。


公立小学校でクラス担任を持って働く、40代の女性。かつては正規の教員だったが、出産のために退職。その後、夫と死別し、2人の子どもを育てるため、非正規の教員として働き始めた。手取りは、ひと月19万円あまり。非正規になった10年以上前から、ほとんど上がっていない。自治体から支援を受けないと、子どもの給食費や通学費を出すこともできない。


番組では、非正規公務員からの強烈なメッセージを紹介していた。司書をしている30代女性。“週5日働いて年収は116万円。アルバイトは禁止。私の現実は「同一労働・半額賃金」。「嫌ならやめろ」ということなのでしょう。”


こういった人たちは「官製ワーキングプア」と呼ばれることもあるそうだ。


児童相談所で、非正規として働く女性。臨床心理士の資格を持ち、大学院で博士号も取得。キャリアは10年以上。仕事内容は、虐待の疑いで保護した子どもと、その保護者に面接し、子どもを帰すべきかどうか判断する業務。収入は手取り16万円。しかし、職場のことを思うと、仕事を辞めることは考えられないという。


非正規の職員が半数を占める、茨城県の鹿嶋市。事前に災害対策本部を設置していたが、思わぬ事態が。市が定めた防災計画では、非正規の職員は災害対応できないことになっていた。午後7時半。避難所には、大勢の市民が身を寄せていた。130人を超える市民に対して、対応する職員は2人。災害時、自治体の仕事は避難所の運営や災害廃棄物の撤去など、多岐にわたる。非正規の職員が急増する中、突発的な事態への対応が難しくなっている。


武田真一キャスターは「働き方改革の議論など推進する行政の中で、こういうことが起きているということですね。本当におかしいんじゃないかと思うんですが、どうなんでしょう。」と番組に出演していた人たちに問いかけていた。


立教大学教授の西山志保氏は次のように発言していた。

「自治体にとりまして、非正規の存在が雇用の調整弁的な役割を果たしているのも、非常に大きい問題となっているわけです。その背景にありますのは、少子高齢化の中で地域のニーズが多様化し、そこに対応していかなくちゃいけない。しかし、その一方で国の交付金は削減されまして、税収は減っていく。非常に自治体自身が苦しい状況の中にあるわけです。国は地方分権ということで自治体に自助努力を求め、自立できる自治体は魅力的な地域づくりを自分たちの税収をまかないながらやっていってくださいと。そういった自治体は生き残っていけますが、そういうことができない自治体は「消滅可能性都市」と呼ばれるようになっていってしまうと。その中で、やはり行政が、自治体は合理的なサービスを遂行していかなければならない。その一つが、非正規職員の問題として表れていると考えられると思います。」


寺島記者は、「国はようやく改善に乗り出していて、非正規の公務員の方々が働く自治体に対して、通勤費や賞与の支払いなどを求める新たな制度を、来年度から始めることになっています。民間では、同一労働・同一賃金が叫ばれる中、非正規公務員の待遇改善につなげることがねらいです。その一方で、自治体の予算は限られています。支出額全体が変わらないように、賞与は支払う代わりに基本給を減らすと通告されたという悲痛な声が、現場を取材していたら聞こえてきました。」


武田キャスターは、「それでは元も子もないというか、増えてないということですよね。石井さんは、児童相談所の相談は数多くなさっていますが、今のVTR前半はどうご覧になりました?」


作家の石井光太氏は、「児童相談所の職員って仕事も大変なんですが、代えのきかない仕事だと思うんですね。例えば、虐待家庭から救出するというのも一つの仕事ですが、その後に救出した子どもにどう関わっていくか、社会にどう出していくか、家庭をどう持たせていくか、全体に関わらなければならない。一つの例を挙げれば、ある少女が性的虐待を受けていたとします。そういった少女って、すぐにはなかなか言えない。信頼関係の中で、1年後、2年後にようやく言える。その間に、もし非正規職員でころころ変わってしまったら、言えませんよね。あるいは、勇気を出して言って、すぐ1か月後に変わったらどうなるのか。行政のいろんな問題のしわ寄せが、一番保護されなければいけない子どもたちにきてしまったりするケースもあるんですね。そう考えても、僕たちがしなくてはいけないのは、すべてをコストカットという見方ではなくて、どこが重要なのか、どこが変えちゃいけないのかを見極めることが必要になってくるのではないかなと思います。」


武田キャスターが西山氏に問う。「今後ますます少子高齢化が進んで人口が減っていくというなかで、私たち自身も行政サービスをどこまで求めていいのか。それも考えていかなければいけないという気がしました。」


西山氏は、「今までのサービスを維持していくのは不可能な段階にきていますので、サービスの提供の在り方という意味で、新しい方法を考えていかなくてはいけない。「行政と市民(NPO)の協働」というのが1つの案としてあると思います。」と答えていた。


武田キャスターは、「非正規公務員の皆さんの力によって、私たちの暮らし、命というギリギリのところまで維持されているんだということ、これからどういうふうな行政の形があるのか。一人一人が考えなくてはいけない時代になってきていると思いました。」と番組を締めくくった。


「非正規公務員は大変だね」で終わらせて良い問題ではない。


日本という国がどんどん貧しくなっているのだ。


クラス担任で、部活の顧問の先生、児童相談所の相談員、自治体で働く職員、図書館司書、などのとても大切な仕事をしている人達が、正規公務員と同じ労働を行っているにもかかわらず、非正規としてしか雇えない日本。財政は悪化する一方で、確実に国力が落ちている。


少子高齢化で総人口はこれからどんどん減っていく。2065年の日本の総人口予想は8千万人だ。健康保険制度、年金制度を維持することができるのであろうか?


需要が減少し、同じレベルの供給が維持できない。当然売り上げが落ち、収益が悪化し、税収が伸びない。


需要の減少を穴埋めするためには輸出を増やすか、インバウンド需要を伸ばすしかない。商品・サービスを売る相手は外国人だ。仕事をするのに英語で会話が出来ることは必須になるだろう。加えて英語でアカデミックなことを学ばないとマネージャーとして働くことも難しい時代がくる。グローバル教育が今まで以上に重要なのに先生たちが疲弊している。


日本は大丈夫だろうか?

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